5月23日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】中央銀行の通貨審議会(COPOM)は二十一日、基本金利(SELIC)を一カ月だけ年利二六・五%に据え置くことを決定した。また次回COPOM開催の六月十七日前の金利引き下げ要求も取り下げた。産業界の激しい批判をよそに、金融市場は信用高揚と金融機関の独立性強化を歓迎して、ドルは一・三八%、カントリー・リスクも五・五七%それぞれ下げた。
今回の通貨審議会は産業界の強硬な圧力を受けた中、審議会メンバーの意見も二分した。産業擁護の主張を退けられたゴウドファイン理事は、辞任した。
産業界ではヴァーレ・ド・リオドーセのアギネリ社長とリオ製鉄のジェルダウ社長が、基本金利の据え置きは止むを得ないと語った。「中銀は苦汁の決定をしたと推測する。国際金融の信用を得、外資を調達するためには、産業界はまだ忍耐が必要」と同調した。
大統領府でルーラ大統領を挟んで行われたインフラ整備会議でも、基本金利の問題が議論された。中銀決定に対する出席者の意見は、一様ではなかった。
ボトランチンのモラエス専務は、「パロッチ財務相
が基本金利据え置きを知っていたなら、血圧降下剤を全員に配るよう注文する」と前置き。ブラジルの生き残る道は金融経済か実体経済か早晩決定する必要があるとし、実体経済なら当然基本金利は引き下げるべきだと非難した。金融経済は何も生産しないし、雇用も生まないと批判した。
同専務は、基本金利の引き下げはボトランチンの個人的問題ではなく、産業界全般の問題だとした。大部分の企業は、高額の債務を抱え金利が死活問題になっていると訴えた。
企業家は金利引き下げのため、こじきのように政府に陳情はしないと述べた。金利引き下げが、景気回復と経済成長、雇用創出につながると主張した。高金利政策を続行するなら産業の根まで枯らし、経済発展はないと断言。中銀決定は「角を矯めて牛を殺すもの」と評した。
サンパウロ州工業連盟(FIESP)は二十一日、基本金利の据え置き報告に接し「二〇〇四年度の工業生産を、危機的状態に陥れるもの」と声明を発表した。工業は体力的に疲弊しているところへ高金利が追い打ちをかけ、もはや来年は病原菌に犯された重病人のような状態になると予告した。
二〇〇三年の経済成長率は一%以下と予測、最終的に限りなくゼロに近い線で落ち着くとFIESPは悲観的発表をした。インフレ抑制に金利のメカニズムだけを用いるのは知恵がないと、ピーヴァFIESP会長は酷評した。
外国人投機家がブラジルの金融市場へ投資するのは、消費市場がターゲット。その消費市場は、冷えきっているのにインフレが潜在的に市場を脅かしている。潜在的インフレを抑制するため高金利政策を継続し経済の構造改善は行わないなら、結果的に外国人投資家を追い払うことになると会長はみている。