5月23日(金)
【ジアーリオ紙系ジャー誌】自分のサービスや商品の販売を促進するのに、サンパウロ市民お気に入りの広告媒体は電柱の張り紙広告および横断幕広告である。安くて効果がある張り紙広告は広く市民に受け入れられており、広告が張られていない電柱や信号の柱を見つける方が難しい。多くの人々が張り紙広告のおかげで生計を立てているが、サンパウロ市では張り紙広告などを公共の場である電柱や塀に張ることは禁じられている。
「電柱の張り紙広告なしでは、自分の生活は成り立たなかった。この十年間で数百万枚張ったと思う。いろいろな広告媒体で試したけれど、どれもうまくいかなかった」と話すのは、英語教師のミスター・ロバートさん(仮名、四五)。ロバートさん自身が広告を作成し、コピーして英語学校付近に張り歩くという。「違法なことは他人には頼めない。自分で張ってます」。
一方アウトドア広告を張る仕事を三年間してきたアイウトン・S・ネーヴェスさん(三一)は、ロバートさん自身が広告を張っていることを残念に思っている。ネーヴェスさんは失業して以来、張り紙広告を電柱に張る仕事をしている。同じ地区なら、一日十五レアルで一万枚も張る。違う地域にも張るなら五千枚程度しか張れないという。「市の監督官が来ないかどうか、横を見ながら張るので、しわくちゃになりにくい特別ののりを使っている」と秘訣を明かす。
南部イピランガ区のシウヴァ印刷会社のヴァレーリオ・A・シウヴァ社長によると、トランプ占いやタロット占い、ブージオ占い(アフリカ宗教の占い。貝を使う)などの占い業者および預言者、おまじない業者の張り紙広告が最も多い。「ブージオ占い、タロット占い、恋人を永遠にあなたのものにするおまじない。七日間以内にあなたの愛する人が戻ります」と書かれた張り紙がそのたぐいだ。次いでサラ金業者、交通違反罰金を上訴する業者となる。
電柱は広告だけではなく、市民のメッセージや抗議のスペースでもある。イラク戦争の戦火が激しかった時には、米国政府を批判した張り紙があちこちに張られた。ブラジル共産党(PCdoB)は、ジョージ・W・ブッシュ大統領にヒットラーのひげをつけた写真の張り紙を市内各地に張った。
自分のイラストを電柱に張るのが好きなデザイナーのクレイトン・カンポスさん(二二)は、「電柱は公共所有物なのか、市のものなのか。公共所有物なら、なぜメッセージやイラストなど、面白いものを張ってはいけないのか。誰が何も張ってない電柱の方がいいと言った?」と疑問を発している。