5月27日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】農地占拠運動(MST)メンバーがサンパウロ州西部のポンタル・ド・パラナパネーマ地方に集結したことで、同地方の地主らは二十五日、団結して武装集団を結成しMSTと対峙(たいじ)した。MSTは釈放されたライニャ氏をリーダーに迎え組織のメンバーに教練を施し同地方を訓練場にすると、地主らはみている。緊迫した空気を憂慮して、ライニャ氏は連邦警察の派遣を政府へ要請した。
銃器不法所持と不法占拠のための徒党組織化の容疑で逮捕され、一年間服役していたジョゼ・ライニャ氏が釈放された。MSTは同氏の出所に合わせ、新たな占拠活動と政治運動を目的とした拠点つくりをパラナパネーマ地方に準備した。同氏は五千家族を、さらに呼び寄せると発表した。
すでに農地を占拠された地主らは、MSTがペルナンブコ州のプラード農場を襲ったような暴力集団を養成すると恐れている。地主らは、土地係争に慣れている者を多数雇った。これら私兵は主にマット・グロッソ州や南マット・グロッソ州で採用された人たちだ。地主らは、パラグアイから購入したライフル銃を提供している。
私兵は、農場の農業労働者として登録される。MSTの襲撃に備えて農作業に従事する労働者への軍事教練が私兵の仕事となっている。私兵は昼夜交代でMSTを見張り、農場にMSTが一歩踏み込んだら発砲をしてもよいと、地主から許可されている。
農場所有者連盟のロッシャ会長は、これら農場の武装化はポンタル・ド・パラナパネーマに限らず地方七州の農場所有者にも武装化を勧めていると述べた。MSTに占拠された三十の農場の地主は二十六日、MSTキャンプの周囲に鉄条網を張り巡らし、セキュリティ企業と警戒のための契約をした。
地主は農業生産者であり武力闘争は好まぬが、場合によっては最悪の事態も有り得ると警告している。農村民主同盟(UDR)のガルシア会長は地主の私兵武装化は否定したが、これからの占拠活動には武力衝突の可能性はあると警告した。同会長は、政府公認の農地解放運動と犯罪組織は合流していると指摘した。
UDRの見解として、プラード農場占拠のように、施設に放火し農機具を破壊し、従業員を拘束した場合、地主側が資産と従業員の生命保護のため占拠者に発砲し、死傷者が出ても正当防衛と見なすと発表した。
農業生産者の中には私兵集団を抱える資力もなく、セキュリティ企業と契約することもできない小農が多数いる。農場内には、家族や子供も生活している。UDRはMSTの襲撃に備えて、小農は親類仲間で武装自衛団を組織するように勧めている。MSTは生産農場も非生産農場もかまわず、さくを越え農産物を略奪するので、農村の深刻な問題となっている。