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俳優・竹本孝之の連載エッセイ-第8回-教師に責任押しつける親

2003年5月29日(木)

 私が、この中学生日記という番組に参加させて貰って、早いものでもう二年半が経とうとしている。最近ではこの役柄の所為か、各所で講演の依頼が来るようになってしまった。講演など私の柄では無いが、拙い話でも何かの役に立てればと、各地を回っているのだが…私と同世代、つまり中学生になる子供を持つ親に対してならば、これまでの経験から、何らかの話が出来るのだが、如何せん子供達(小、中学生)に向けて話をするのは正直難しい。一人一人、個別に話しをするのには、いつもの自分つまり、中学生日記に参加している子供達と接する自分で良いのだが、不特定多数に向けて、今の自分が何を語り、伝えれば良いのかが未だに分からない。つくづく教師という仕事は大変だということが身に染みる。
 人数の多いクラスで約四十五人。この子供達に向け、一人の大人が常に何かしらのメッセージなり教えを伝え、しかもそのクラスをまとめていかなければいけない。先日、中学校の先生達と食事をする機会があり、その時の会話で興味深い話があった。「近頃の親は、学校に全てを頼り過ぎだ。この前、万引きで補導された子供を引き取りに来いと、警察から電話が学校にあって、親に連絡し、行くように伝えたんだけど…その親は、『学校に連絡が来たんでしょ?今忙しいから先生が引き取りに行って下さいよ。』なんて言うんですよ!信じられます?」私は言葉に詰まってしまった。どんなに大切な事情が有ろうと、自分の子供が罪を犯した事には違い無い訳だから、それを戒め、先方に謝罪するのが親の務めではないだろうか。あまりにも無責任、無関心過ぎる。良い学校に行き、良い会社に勤める事だけが子供の幸せに繋がると思い込んでいる親。子供がまだ幼く、自分の思いのままになる時期だけ、友達の様に可愛がり、本当に親として必要な時期になると子供に飽きてしまう親。そんな親に育てられた子供達の将来が、気掛かりでならない。

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中学生日記