5月30日(金)
【ジアーリオ・デ・サンパウロ紙】国民の注目の的である政府側の年金改革案。多くのブラジル人は、改革後の年金制度を不安に思っているだろうが、医者やエコノミストは、年金額だけが年金生活者の問題点ではないと注意を呼びかけている。
退職後、最も辛いのは「自分はただの役立たずだ」と感じながら、安い年金での生活苦に耐えること。うつ病にかかる人もいる。「自分を常にリサイクルすることが大切。年金生活は非活動的だと勘違いするのは禁物」と専門家はアドバイスしている。
ブラジル老人医学協会のサーロ・バックスマン会長によると、自分をリサイクルすることは、自分が好きなことをすること。できれば新しい仕事を見つけるのが理想的だという。
現在TVグローボのドラマに出演中の女優カルメン・シウヴァさん(八七)は、自分自身のリサイクルに挑戦した年金生活者の一人だ。退職当時の一九七五年、同局の高給料にもかかわらず年金上限額に達せず、最低賃金の六倍の年金生活を強いられた。「最近、最低賃金が上がってやっと千レアルを超したところ。退職後も芝居技術を教えたりして働きつづけた。かえってそれが良かったと思う」。
ブラジル地理統計院(IBGE)の計算では、二〇二〇年の六十歳以上の高齢者数は三千二百万に達する。現在の高齢者数千五百万人の倍以上である。応用経済調査院(Ipea)の調査によれば、多くの社会的要素の変化により、これから先は、自分の子供と暮す高齢者が増えるという。
ブラジル人の平均年齢が六十九歳になり、特に南東部では八十歳も珍しくない現在、高齢者専門大学(Unati)のレナト・ヴェーラス教授は、「十年後には五、六世代が一つ屋根の下で暮すことも普通になる。多くの高齢者が再就職するだろう」と言明。「ヨーロッパのように、博物館や美術館での案内役や観光業者など、サービス関係の仕事を高齢者にさせるべき」と指摘している。
金融コンサルタントでブラジル個人投資顧問協会(Abrafip)会長のマルコ・A・シウヴァ氏は、年金だけに頼らず、現役中から給料を少しずつ節約して貯金をすることを勧めている。民間年金プランなどに入ることも一対策である。