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文協理事会=委員会を大幅改組=INSS罰金問題=対策部署を新設

5月31日(土)

 二十八日に行われたブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)の今年度初理事会では、人事・組織の両面で大きな改革が承認された。従来の二十七委員会から、一委員会が廃止、三委員会が新設されて、合計二十九委員会になり、委員長人事も大幅な刷新となった。
 廃止されたのは婦人部委員会。従来から「エスペランサ婦人会と活動や人事が重複している」との指摘があり、今回からエスペランサ婦人会役員一人を文協役員に迎え入れた上で婦人部委員会を廃止した。これにより、婦人活動分野に関して、文協本体が直接、同婦人会と共同歩調で活動していくことになった。
 新設されたのは(1)国外就労者委員会、(2)特別企画委員会、(2)人事委員会の三部門。
 (1)国外就労者委員会には吉岡黎明第一副会長が委員長に就任し、今まで文協が手がけてこなかったデカセギ諸問題に対処する部署として新設された。新執行部には「デカセギ問題は日系社会最大の課題」との認識があり、新生文協の新機軸として打ち出された。
 (2)特別企画委員会には和田忠義第二福会長が委員長に就任。特別イベントの企画運営を担う部署で、日系建築展などの打ち合わせが進んでいる。これは、文協ビル、サンタクルース病院病棟、マッケンジー大学講堂などを設計した故鈴木威氏らをはじめとする日系建築家や、日系団体施設を設計したブラジル人建築家の設計図・写真などを一堂に展示するもの。
 このほか、サンパウロ市四百五十年祭に向けたイベントなど、日系人の存在をブラジル社会にアピールする目的の企画が進行している。
 (3)人事委員会には伝田英二第四副会長が委員長に就任した。従来は総務委員会などで扱われてきた、文協が慈善団体登録を喪失したことに端を発するINSSからの罰金問題など、文協の経営上、最重点課題を扱う部署として独立・新設された。
 INSSからの罰金の多くは、各種職員との雇用形態に起因した問題であり、慈善団体登録を喪失したことで、従来免税であったもの(INSSの団体側負担分)を課税扱いにされて罰金になったという経緯があるため、〃人事〃委員会という名称になった。
 今件は現在も係争中であり、判決がでるまでには時間がかかる。万一、裁判に敗訴した場合を考慮して、判決までの間、団体側負担分を積み立てておくかどうかなど、経営上の最重要課題が法律・会計などの専門家によって話し合われる。
 その他、昨日付本紙で「懸案だった日伯学園〃準備〃委員会が正式に立ち上げられた」と報じたが、〃検討〃委員会の間違いだった。建設を前提とした〃準備〃委員会ではなく、前執行部時代同様に建設の可能性を検討する委員会として存続された。委員長には松尾治第三副会長が新任し、谷広海副委員長が続投となった。
 今回の組織改変では、前体制から引き継いだ経営的問題を重点的に解決する部署を新設すると同時に、デカセギ、特別企画などの独自色を打ち出すなど、新執行部の改革への意気込み反映されたものになった。