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ルーラ大統領 G8拡大会合に出席=先進国のエゴ糾弾=「公平性欠く」と途上国代弁=飢餓基金創設訴え

6月3日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】フランスのエヴィアンで開催されたG8サミットに参加中のルーラ大統領は一日、先進国の保護貿易を厳しく批判した。大統領は表現に細心の注意を払いながら、招待者のシラク仏大統領とブッシュ米大統領へ、世界貿易機関(WTO)の裁決は公平性を欠くと疑問を投げかけた。先進国の補助金制度や非関税障壁などが、南北格差と社会阻外を生み出しているのではないかと訴えた。

 エヴィアンのG8サミットは、先進七カ国とロシア、ブラジルを含めた特別招待の途上国十二カ国首脳の参加で開催された。
 ルーラ大統領は国際市場に途上国の発展を阻害する制度が存在し、この悪習を除去する必要があるとした。先進国間には大国のエゴを守る協定があり、WTOはそのお先棒を担いでいる。だから農産物補助金問題は、解決に向かって一向に前進しないと訴えた。
 また国際経済社会に民主主義の精神が、枯渇していると指摘した。民主主義が定着しない国には、原理主義が台頭し経済発展をものに出来ず、失業と貧困を招くと述べた。
 産業発展を伴う経済的安定と理想社会を、生み出す方程式を考案する必要がある。貧窮と社会から疎外された人に目を背けて、いかなる経済理論もあり得ないと、大統領は語った。途上国の苦汁は、国際市場で顧みられていない。また途上国は、先進国の施しを求めていない。国際貿易に、公平なルールを構築すべきだと、大統領は警告した。 
 大統領は世界に万延する極貧に対処するため、武器の国際取引に特別課税を設け飢餓基金とすることを提唱した。また途上国が債務の利子決済のために支払う金利の一部も、同基金に振り込む。これはペルーで行ったリオ・グループに属する中南米諸国会議で、決議した。貧困対策と社会インフラ整備のため、資金捻出を目的とするものだ。
 大統領は外紙の記者会見にこたえ、「G8への加入招待を待たず、途上国同士で途上国会議を造るべきだ」と述べた。大統領案はナイジェリアやアルジェリアから支持を受け、G15途上国会議が来年、ブラジルで開催となった。
 G9になったら、ブラジルが先進国の仲間入りを果たすかという質問があった。大統領は、米国で行う次回G8サミットに、今回の特別招待国が再度招かれるとみて、ブラジルは途上国代表の役目を継続するとした。途上国会議はG20の可能性があり、ブラジルの考えに変更はないとした。
 二日、大統領と中国の胡錦濤主席との首脳会談がセットされた。六日には、インドと南アフリカとの三カ国外相会議が開催される。途上諸国の外交努力が、先進国が築いた農産物補助金制度の城壁を崩すと、大統領は考えている。途上国間で貿易を拡大して先進国から経済的に独立すれば、先進国の方から譲歩してくるとみている。