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〝燃料マフィア〟各地で暗躍=年間100億R$の脱税=刑が軽さと法の欠陥が原因

6月3日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】〃燃料マフィア〃による脱税や製品(燃料)偽造などは、コカイン密売よりもうかる―。燃料マフィアは警官から保護され、政界にも手を伸ばし、タックスヘイブンに数百万ドルを送金している。この種のマフィアは、主に南部、南東部、中央西部の州で暗躍しているという。下院燃料査察委員会(CPI)は、燃料マフィアが年間約百億レアルも脱税し、公庫に損失を与えていると推測している。
 燃料マフィアは、〃法律に守られたマフィア〃だと言える。例えば、ガソリンに溶液を混ぜたり、不法な精製所を所持していたりなどで、首謀者が現行犯逮捕されても、最高三百二十レアルの保釈保証金を支払えば釈放される。法律では、この種の犯罪の禁固期間は一~五年と刑が軽い。
 検察庁とサンパウロ州検察局によれば、法律面の欠陥によって同マフィアを重刑として罰することができないため、この種の犯罪にひかれる犯罪者が増えているという。法律では、基準外の燃料の購入、配給、転売は犯罪とされるが、燃料の偽造や不法燃料の生産・運搬・保管は犯罪とみなされない。
 石油庁(ANP)は燃料の偽造者に対し、偽造された燃料を配給会社に返還するよう義務付けている。燃料を再度精製するためだ。だが、すでに燃料マフィアに取り込まれている燃料配給会社が多く、「押収したコカインを麻薬密売人の保護下に置いているようなもの」だとサンパウロ州検察局組織犯罪対策特殊活動班(Gaeco)のジョゼ・C・G・ブラット検事は頭を抱えている。
 偽造燃料を返還すると、ガソリンスタンドは再開できる。サンパウロ市サント・アマーロ区ワシントン・ルイス通りのサンレオーニダス・ガソリンスタンドは、石油庁に昨年九月から十二月までに五回も差し押さえを命令されながらも、現在通常営業している。一リットル当たりアルコール〇・九九レアル、ガソリン一・七九レアルで販売。鉱山動力省によると、サンパウロ市のガソリン平均価格は一・九八レアルである。このような状況にあるガソリンスタンドは多数ある。
 大サンパウロ市圏グアルーリョス市付近の燃料マフィアを捜査しているジョゼ・M・バルブット検事は、「ガソリンスタンドを捜査しても意味がない」と言明。同検事の捜査班は、燃料配給会社や燃料製造業者を捜査し、燃料偽造・詐欺の責任者を見つけ出そうとしている。五月二十九日には、ブラジル中の検事がパラナ州クリチーバ市に集まり、燃料マフィア対策を練ったという。