6月4日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三日】外遊中のルーラ大統領に代わり臨時大統領に就任したジョゼ・アレンカール副大統領は二日、高金利のためにブラジルの産業は窒息しつつあると言明した。経済スタッフは産業の実体を把握していない。市中銀行の金利引き下げは政治分野で取扱うべきだと語った。市中銀行が、徴収している金利は暴利であると批判した。ジュネーブ滞在のパロッシ財務相は金利を政治家が管理すれば、中央銀行はインフレを抑制できないと反論した。
ルーラ大統領はジュネーブで、金利引き下げは全員が希望することだが、金利政策は不用意な発言によって変更はできないと表明した。側近には高金利政策は政治的疲弊が大きく、それが今後の負担になるのは好ましくないと述懐した。
アレンカール臨時大統領との記者会見は、ジュネーブ滞在のルーラ大統領の記者会見と、ほぼ同時刻に行われた。臨時大統領は、政府の経済担当者が産業経済に精通していないと述べた。金利問題はこれから、政治分野でも取り扱うべきだと発表した。
臨時大統領はさらに、基本金利の引き下げなくして失業率の低減はないと強調。インフレを金利で押さえる考え方は、経済学の誤解であり思考の短絡だと指摘した。需要がインフレを起こすのではなく、生産原価が高騰する構造的インフレが原因なのだと警告した。
政権引き継ぎ当初、財務相が物価管理に力を注いだのは正解であった。しかし、現在は事情が変化し国際的なリセッションの中で、ブラジル経済はデフレーションの脅威にさらされている。デフレはインフレよりも恐ろしいことが、政府の経済当事者には理解できないのが残念だと述べた。
構造的インフレとは赤字をたれ流していた公社の民営化により、経常費や税金が原価に重くのしかかってきた産業構造が、コスト・インフレの生みの親だ。これは全国民にとって、不幸な遺産だ。大昔の経済学では、高金利によって消費を押さえ投資を促進した。それを政府の経済当事者が、金科玉条としていると副大統領は皮肉った。
ブラジル経済は今年、税収の三分の一を金利の決済に充てなければならない。しかし、それは不可能だ。一部を決済して、残額繰り延べにする。緊縮財政により金利の決済を厳守している財務相の努力は称賛に値するが、これがブラジルであることを国民は認識する必要がある。
新政府が政権を引き継いだとき、ブラジルはインフレという慢性病に侵されていた。それは金利政策という外用薬では根治不可能な病気で、内用薬で体力をつける療法を行わねばならないと副大統領は述べた。
基本金利二六・五%の条件下に、三年で投下資本を回収できる産業は存在しない。投下資本の回収には、成功して六年かかる。このような条件下に雇用創出は、画餅に過ぎないと、金利政策を厳しく批判した。