6月4日(水)
一日付エスタード紙は、創業千四百年を超える世界最古の日本企業「金剛組」(本社・大阪府)を紹介した。同社の創業者は飛鳥時代第三十代敏達天皇六年(西暦五七八年)、時の聖徳太子から四天王寺建立の命を受け、百済の国から呼ばれた三人の工匠だ。同寺は百数十年かかって奈良時代初期、八世紀初頭にようやく完成をみた。その後、現在まで日本最古の仏寺として、広く知られている。
六〇七年(推古十五年)、四天王寺に遅れること十四年。同じく聖徳太子の命により、金剛組によって創建された法隆寺もまた、日本が世界に誇る木造建築の最高峰の一つ。
この日本有数の宮大工集団を抱える企業が乗り越えてきた四十世代の間には、幾多の政権交代と戦乱があり、つい最近にはバブル崩壊もあった。現代表取締役・金剛正和氏は、昨年九月に親からその役職を世襲した。エスタード紙によれば、アメリカの『ファミリー・ビジネス』誌は金剛組を世界最古の家族企業と位置付け、ギネス・ブックにも認定を申請中だと報じているそう。
同社が創業した頃、欧州大陸はローマ帝国の崩壊から一世紀をへてなお立ち直れず、混乱の日々を送っていた。日本にとっても、黒船到来による開国は一千年以上先の話しだった。
「みんなが私に尋ねるんです、長続きの秘訣はなんですかって?」と金剛氏はいう。「特別なものは何もないんです。単純な、基本的なことばかりです」。
これについて、同社のサイトwww.kongogumi.co.jpには、次のような記述がある。
――明治の文明開化以降、廃仏毀釈の令が出され四天王寺は寺領を失い工事が殆どない、まさに試練の時代に第三十二代金剛八郎喜定がのこした〃遺言書〃は、当事の金剛組に大きな力を与えました。喜定は〃職家心得の事〃でこう記しています。「お寺お宮の仕事を一生懸命やれ」「大酒はつつしめ」「身分にすぎたことをするな」「人のためになることをせよ」など。この家訓が、苦難にあって初心にかえることの大切さを教え、金剛組の進むべき方向を示したのです。
同紙によれば、金剛組は伝統技術を守り伝えるだけでなく、伝統的日本建築にコンクリート工法を用いた最初の建築会社の一つであり、いち早くコンピューターによる設計も取り入れた。「伝統的日本建築の美しさを維持するために、我々の長い経験と先進技術を結集しています」と金剛氏は語っている。「さらに長い間、我々の企業活動は続くことでしょう」。
しかし、引き続く日本の
不況により、受注工事の大半を公共事業に頼る同社も、影響が出てきている。「みんな、不況に文句をつけている。でも一番大切なことは、どんな厳しい状況においても、憂うつ感に押し潰されないこと。自分の事業を信じるなきゃ」と語った。