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具体化する低金利政策=国営銀行がけん引=市民へのローン容易に=ルーラ大統領が表明

6月5日(木)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙四日】ルイス・イナッシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領は三日、国内の一般消費者がローンを簡単に利用できるようにし、同時に金利引き下げを図る対策として、カイシャ・エコノミカ・フェデラル(CEF=連邦経済金庫)やブラジル銀行などの国営銀行にスプレッドで得られる利益の一部をあきらめさせ、金利を下げさせることを考えていると明らかにした。スプレッドとは、市場で資金を得るために銀行側が払う金利と、顧客に融資する際に得る金利との差を指す。

 ルーラ大統領は三日午後、サンパウロ市で開かれた産業開発研究所(IEDI)の企業家たちとの会合の場で、国営銀行を利用した金利政策の採択を表明した。
 ルーラ大統領は、ブラジルの高金利問題は基本金利(Selic)二六・五%からなるものではなく、市中銀行の金利によるものだと、以前から主張している見方を再度強調した。
 中央銀行のデータによると、一般顧客が四月に支払った特別顧客小切手の年間金利は一七八・五%だった。だが経済の平均実質金利は、今年第一・四半期の時点で年間五八%に止まっている。
 「市中銀行が基本金利を利用すれば、融資を得たいという客が殺到し、長蛇の列が月までできるだろう」とルーラ大統領は話した。国営銀行を使って金利引き下げを狙う金利政策は、一般市民や企業が今まで以上に銀行融資を利用できるよう、市場拡大を図ったものだとされている。
 ルーラ大統領によると、政府は、一般顧客を対象としたローンを設ける案を検討しており、国営銀行に通常のローン市場の金利より低い金利を適用させる意向でいる。
 ブラジルのローン需要が少ない理由は金利が高すぎるためだと、ルーラ大統領は言明した。「ブラジル人は、冷蔵庫一台を買う際、高金利のローンで支払うため、結局二台分の金額で購入させられている」と、融資面での例を述べた。
 今回の会合で企業家たちは、ブラジルの輸出を増加させるため、ドル高為替を求めている。IEDIは、外債を減少するのに巨額の貿易黒字を目指す政策を適用するのが良いと主張している。また企業家らは、国内の生産性を高めるための産業政策も打ち出すよう、大統領に要請した。
 もし実際にルーラ大統領が、金利引き下げの一手段として国営銀行を利用する場合、簡単にそれを実行に移せないのではとフォーリャ紙はみている。
 現在CEFとブラジル銀行は、市中銀行と同じ範囲の金利を請求している。サンパウロ消費者保護センター(Procon/SP)の五月のデータによれば、個人顧客に対する融資の金利は、ブラジル銀行が月に五・九%、CEFが月に六・二五%となっており、市中銀行の平均金利幅内の数値である。最高金利はイタウー銀行の月間六・二五%、最低はノッサ・カイシャ銀行の四・七五%である。