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コラム 樹海


 男の社会も近頃はお洒落が流行らしい。鼻や耳に始まり臍にまでピアスなるピカピカを付けたりもする。髪の手入れも大変なもので「床屋」ではなく「美容室」とか「サロン」と呼ぶ。イガグリなら三レアルなのに「整髪代」もかなりの金額に達するそうだ。短髪も見かけるけれども、鋏の細工というか「技」を駆使しての細かな模様が入っての美術型で複雑怪奇なのである▼高が髪の毛ながら、これが奇麗なのと汚いのでは雲泥の差が生ずるしやはり相応の手入れは大切なのかもしれない。が、もっともっと深刻なのは「ある」と「ない」の違いだろう。年を重ねるに従い黒髪が白髪へ。若い頃にはびっしりと密毛だったのに老いに従い疎らにも。これが自然の流れなのに、抵抗しようと試みるのは「男の業」というものか▼鬘と小町は昔からあるけれども、近頃は「植毛」も盛んに行われている。恐らく、頭部に穴を開けて植え込むのだろうが、かなり面倒な仕事だろうなの印象が強い。業者というか薬屋さんも目敏さにかけては人一倍だ。植えるよりは「頭髪が生える」という「育毛薬」なるものを売り出すたのはいいが、効果のほどははっきりしない▼皆が皆に黒髪が生え育ったわけではなし、全く駄目な人も一杯いる。故・宮坂国人さんは、あまり頭髪が豊かではなく「育毛の薬を発明すればノーベル賞もの」と語っていたそうながらこの薬は難しいものらしい。それよりはすっぱりと、歳を重ねるままの自然流に任せるのも一手だろうに。   (遯)

03/06/07