6月10日(火)
九一年八月、真夏の高知市。一人の青年が、「よさこい祭り」で汗を飛びちらし、エネルギーを爆発させる踊りに圧倒された。この衝撃は、北海道大学学生、長谷川岳さんに、新しい祭り誕生の契機を与えた。翌年六月第二週、新緑の札幌市。初めての「よさこいソーラン祭り」(第二回からYOSAKOIソーラン祭りに名称変更)が行われた。参加者は十チーム、千人、観客動員数は二日間で二十万人に上った。
「楽しいという所から始まるお祭りである事が、まずは大切なことだと思います」長谷川さんは、ブラジルで開催される事に対して、そう助言を贈る。
「楽しい」から始まった祭りは、第十回大会では過去最高の四百八チーム、四万一千人の参加者、観客動員数二百万人を達成した。
一方、日系コロニアでは、現在一世たちが高齢化し、若い二世、三世たちが出稼ぎで空洞化。必然的に、若者たちをコロニアに向けさせる何かが捜し求められている。
この連載と平行して今月四日から日本で「第十二回YOSAKOIソーラン祭り」が行われている。九二年に参加者千人で始まったこの祭りは、今回大会で参加者四万人を集めた。この活力がブラジルにも求められている。
その創始者の一人長谷川さんは、活性化の一助になるかと言う質問に対して「日系集団地の状況がわからないのですが、老若男女が集まり、幅広い世代が参加し交流するという事は、それ自体が、大変面白いものだと思っています。不活性に悩むからお祭りをするという発想ではなく、お祭りというもの自体がとても楽しく、参加する事でみんなが元気になるからやりたい!という発想に変えて行く事が大事なのでは無いかと思います」と、その意見をメールにつづって来た。
七月二十日の大会は、文協講堂の開催だけでなく、ガルボンブエノ街のパレードも決定。リベイロン・ピーレス民舞、北海道協会「ひぐま会」、弓場農場、平成学院、ビリチーバ・ミリン、パラナ州カストロ連、海藤民謡バンド、文協青年部、松柏学園、ロード・パンピーレ、SOHOの十一チームが集う。
十年後に日本同様、参加者数万人規模の祭りになるのか。日系社会の新たなる挑戦。今、YOSAKOIソーランが始まる。
(佐伯祐二記者)