6月11日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十日】産業開発院(IEDI)は九日、ブラジルの鉱工業がリセッション(景気後退)にあるとして、今年の鉱工業成長率を一・五%から〇・五%へ下方修正した。
地理統計院(IBGE)が四月鉱工業生産を前年同月比で四・二%減、前月比で〇・一%減と発表したことを受けて、IEDIは各鉱工業部門を調査して、二カ月以上にわたる減産は景気の後退と判断した。
消費財の落ち込みは、生活必需品にまで至っている。衣料品や靴の生産が昨年同月比一〇・六%減と一九九二年八月以来の落ち込み、自動車も一八・二%の大幅減。内需低迷が生産部門に与えた影響は大きいとみられ、高金利政策を止めるよう求める産業界の声は、さらに高まりそうだ。
輸出にかけていた企業だけが、辛うじて延命を図っている。国内市場だけを頼りにしていた企業は売り上げの急減と銀行の貸し渋りで窮地にある。第一・四半期では業界のけん引役であった食品も昨年同月比五・七%減。庶民は所得低下により、代用食で食生活も節約しているようだ。
仮に六月で金利引き下げに転換しても、業界が持ち直すのは運が良くて今年第四・四半期とされる。中銀通貨審議会(COPOM)がいま、産業救済策を打ち出しても結果が出るのは来年とみられる。二〇〇三年は惨敗の年と悲観的だ。