6月11日(水)
【エポカ誌】治安に関する統計によれば、防犯に費やす経費は「飢餓ゼロ計画」のキャンペーン費の五十六倍と戦慄(せんりつ)を覚える報告だ。国民が医療プランに支払う経費の四倍という数字だ。別名〃治安税〃と呼ばれる連邦政府と州の治安費は、四百七十億レアル。さらに企業と一般市民が、セキュリティ・サービスへの支払いや防犯機器購入のための治安費が五百五十億レアル。合計で千二十億レアル、国内総生産(GDP)の一〇%だ。
電撃誘拐の標的が中流階級へ当てられたことで、リオ国立大学のソニア・フェラス教授が「中世紀化」と命名、市街でも女性の一人歩きが危険になったと嘆いている。経済力のある人は、私兵を従えて行軍をする。
サンパウロ市で治安態勢は完璧といわれるショッピング・センターでも、電撃誘拐が行われ防御ができなかった。誘拐犯との交渉専門の外国系企業の代表は、安全確保のために一家で防犯機器に百万ドル投資を勧めた。安全の代価だという。防犯ビジネスは、ここ二年で五五%増の不況知らずだ。
老婆心ながら、防犯のための注意事項を列記する。
一、配達人は管理人室で応対しアパートに入れない。
二、入口の監視カメラは、見える所に設置しない。
三、非常時に機転のきく管理人を採用する。防弾室がない場合は、柵の内側に管理人室を設ける。
四、ガレージに出入りする乗用車を運転する人の顔を、管理人に記憶してもらう。記憶力の弱い管理人は、役に立たない。
五、管理人の代役は良く訓練しておく。代役の日は賊に狙われやすい。
六、注文していない配達は、受けてはならない。
七、帰宅して留守宅に不審を感じたら誰かの携帯に電話して、窓の外から監視してもらう。
八、両隣の住人とは、いつも仲良くしておく。
九、勤務の往復コースを毎日変更する。
十、女性は車中にハンドバッグを二個用意し、大切な方は隠しておく。
十一、エリートと誤解されるようなステッカーを車の窓に張らない。
十二、車内に拳銃を持っていても銃さばきは賊の方がいつも敏速で、かえって危険であると認識する。
十三、車を停めて、車中で誰かと待ち合わせをしない。必ず車外に出て待つ。
十四、ガードマンの選択はかっぷくで選ばない。頭の回転が速いかで選ぶ。
十五、賊に襲われたら、話せば分かるなどと考えない。賊に誤解されるのがオチ。
十六、賊の目を見据えない。下を向き必要最低限を話す。目を見ると賊はいら立つ。十七、賊の前で体を動かすときは、前もって賊の許可を得る。不意に体を動かすと、賊は不審感を抱く。