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経済開発審議会 金利即時引き下げ提言=政治的配慮が欠如=「経済の軌道修正」に苦戦=通貨政策に批判集中

6月14日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】大統領諮問機関の経済開発審議会は十二日、ルーラ大統領に対し即時基本金利の段階的引き下げを実施するように提言した。同審議会のジェンロ議長は圧力をかけられたのではないが、経済動向への懸念と政治的配慮からの結論だと述べた。マンテガ企画相は金利引き下げは審議会ばかりでなく、政府関係者全員の懸念事項だったと語った。

 経済開発審議会が中央銀行の通貨審議会(COPOM)に対し、次回会議で基本金利(SELIC)を引き下げるように、大統領を通じて圧力をかけた。同審議会の報告書は満場一致で決めたもので、即時決行という緊迫した事態を憂慮する内容となっている。
報告書は「経済の軌道修正」と副題を付したもので
産業の再生に向けインフレ抑制に努めながら経済成長を遂げるという。投資家への安堵と先行投資のために、経済と政治の率先力を期待すると進言した。
 ジェンロ議長は圧力はなかったが、政府が産業発展に向けた決断を下すため審議会が果敢に活動するよう要請はあったと認めた。基本金利の引き下げは、単なる経済的側面だけでなく政治的配慮も必要という意見もあると述べた。
 COPOMは、一匹おおかみではない。政府の中の一機関として経済指標一辺倒とならず、広い視野に立った政治的配慮が欲しいと、同議長は付け加えた。しかし、経済開発審議会に振り回されるCOPOMでも困る。金融経済に偏らず雇用創出などにも配慮しながら、COPOM独自の見解も必要だと語った。
 マンテガ企画相は、基本金利の引き下げは政府関係者の判断だとした。しかしCOPOMが即時に対応して、金利引き下げに走るのは危険だと警告した。引き下げ時期を見極めないと経済的惨事を引き起こす。関係者も無責任な発言は、慎むべきだとけん制した。
 報告書を受け取った大統領は政権を引き継いで五カ月であり、しばらく成果を評価するのは待って欲しいと語った。経済発展に向けた対策は、手が打ってあるので時間の経過とともに成果は表れると述べた。
 ルーラ政権の変ぼうは大統領自身が認識しているが、第一の山場である年金改革と税制改革を克服すれば、風向きが変わるとみている。政府が直面している難関突破のため〃熱意〃を強調して、黄熱病のワクチンを発見したオズワルド・クルース博士の逸話を披露した。改革への抵抗は黄熱病のワクチンと同じだという。博士は初回ワクチンを注射するとき、内心大きな抵抗を感じながら命をかけて勇敢に遂行した。
 大統領は次のような例えを引いた。夫婦が長年連れ添うて、夫婦仲の修復が必要になり二人は話し合った。夫婦仲を家に例えボロ宮殿を買って改装するか、小さな新築の家を買うべきか議論をした。巷間では住み慣れた家でも改装するよりは、売りとばす方が容易だという。どちらを選ぶか。

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