6月14日(土)
ユーモラスな名前と特徴のある形を持つフルーツ、デコポンが収穫のピークを迎えている。トゥルボランジャ市(MG)のグルーポ・タニワキ(谷脇運吉責任者)は、今年からヨーロッパ向けの輸出をスタート。選別や箱詰め作業に余念がない。収穫の終わる十月までに、国内外合わせて二万箱を出荷する見込み。 糖度は高く、程よい酸味が効いた独特の味わいがあり、文字通り「凸」がある。
日本では十二月から六月が収穫時期。谷脇さんは九二年に、柿栽培の研修で訪日、時季外れの十月に、初めて試食した。「果実はまだ青かったのに甘かった」。
淡路島(兵庫県)で芽接ぎの枝を手に入れ、農場(三十六ヘクタール)に二百本を植樹。九五年に、市場デビューを果たした。
大きさは日本で、一個が二百グラムから二百五十グラム。ブラジルは太陽エネルギーが大きいため、五百グラムになるものも。
デコポンを商品化している農家はまだ限られている。サンパウロ市のフェイラでは、ぽつぽつと見られる程度だ。谷脇さんがブラジルで初めての生産者と言われている。
知人のオランダ人技師が昨年、オランダにサンプルを持ち込んだところ、好評を得、ポルトガルとオランダへの輸出が決まった。
農場に現在、千八百本のデコポンを植えている。五千本まで増やす考え。
谷脇さんは高知県出身。一九四〇年生まれ。旧コチア産業組合から九〇年に、柿の生産で表彰を受けている。
八〇年末に野菜栽培から果樹栽培に転換。九二年から七回、訪日して肥料、枝の剪定などについて研究を重ねている。東京農業大学派遣の実習生の受け入れ先でもある。
【デコポン】清見(温州みかんとオレンジの掛け合わせ)とポンカンを交配させたもの。品種名は不知火(しらぬい)。農林水産省果樹試験場口之津支場で一九七二年につくられた。果形の不揃いなど外観上の理由から、長い間市場に出回ることはなかった。糖度が十三─十四と高く、食味がよいことから、九〇年に熊本県果樹指導者会議で優秀性が認められ、商品化された。