6月17日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】リカルド・ベルゾイーニ社会保障相は十四日、補足年金の管理委員会認可により民間の年金プラン加入者が現在の二百万人から六百五十万人に急増すると述べた。同管理委員会は医師や弁護士、自由業者はそれぞれの協会を通じ年金基金を創設し、各種基金と合流してさらに発展することが賢明だとした。協会や組合で資金運営に不慣れな団体は、金融企業へ委託するように助言した。
新社会保障院と呼ばれる民間年金基金に加入している人は、いま二百万人に過ぎない。これが地理統計院(IBGE)の調査では、上限二千四百レアル以上の年金確保を希望する人が、五年間に三倍以上に急増すると発表した。
医師や弁護士など中流階級の人々が豊かな老後を夢見て、長期の定期積立金や貯蓄に奔走している。同時に年金への掛け金や金融市場への投資金も増加するものと見込んでいる。
欧米先進国では、民間年金基金が国内企業へ直接投資して堅実な成果を上げている。ブラジルも民間年金基金に大量の資金が流入すれば、国内企業の発展に二十年、三十年の長期投資で同資金が有効利用されるものと期待されている。
六月末に工業技師の年金基金とジェトゥリオ・ヴァルガス財団卒業生の年金基金の二基金が名乗りを上げる。中央労組(F・Sindical)も、組合員一千万人のために労組年金基金を創設準備中だ。統一中央労組(CUT)も後を追い検討中のようだ。
このプランは前政権時代に提案され、いま結実しつつある。加入者は掛け金納入期間を十五年、二十年、三十年と自由に選択できる。掛ける金額と年金受領時期も、加入者が選ぶ。掛け金支払い契約をもって、基金は資金の収支状態を管理する。従来銀行で一律管理していた年金システムよりも、有利な基金の年金管理システムとみられている。
大手企業は従業員のために独自の年金基金を有するが、医師や弁護士、中小企業主は、それぞれの協会が年金基金を創設し、各自が加入するか否かを選択する。基金の運営に無経験の協会は、基金運営に経験豊かな金融企業へ委託することも一案と、年金管理委員会は提言した。ただし無責任な金融企業には、注意をするよう呼びかけている。
米国の場合は、協会が金融企業に委託する際、監視役のコンサルタントとも契約する。米国カリフォルニア州教員組合の年金基金は、保有資金が千四百億ドルで世界一とされ、専門の金融機関に資金の運営を委託している。ブラジルの全年金資金の三倍だ。
アマデオ元労働相は、組合員の年金基金を預かるには不慣れで無知な労組が多数あり、安易に組合員が加入することに警鐘を鳴らしている。また無知な労組を狙う悪質な金融企業もある。もし同案が発令される場合は、資金運営を委託することを義務づけ、それを監視する機関も設定する法令が必要だと訴えた。