6月17日(火)
ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)主催の定例昼食会が十三日正午から、サンパウロ市内のホテルで開かれた。ケンジ・ナキリ・サンタクルース病院心臓外科部長が「心臓病のリスク要因」をテーマに講演。心筋梗塞に罹患する人がブラジルで増加しており、病気の予防を心掛けることが大切だなどと、アドバイスした。
ナキリ部長によると、心臓病で死ぬ割合はアフリカなど発展途上国では低い。アメリカ、ヨーロッパといった先進国になると、死因の上位を占める。
ブラジルは、データーがないため、正確な統計は発表されていない。だが、「患者数は着実に伸びている」。
特に、女性に危険が高まりつつある。家事や仕事でストレスがかかっているためだ、とナキリ部長は指摘する。
高血圧は三倍、喫煙は一・六倍、ストレスは四倍、これら三要素を持たない人に対してリスクが大きい。三要素全てで十六倍にリスクは増大する。
心筋梗塞は主に、動脈硬化によって引き起こされる。動脈の内側は年齢とともに、厚くなって弾力性が失われる。
そこに、脂肪が沈着するとその部分は黄色く盛り上がってくる。これが進行してその中央がくずれどろどろした感じになり、コレステロール、カルシウム、脂肪酸などが沈着して固くなる。
このようになった動脈は自然に、元に戻ることはない。風船を血管に入れて、膨らませるなどの手術を行わなければならない。
動脈硬化になると、心臓が苦しくなったり疲れやすくなるなどの症状が表れる。「自覚症状のない人も三〇%ほどいる」。
原因は高血圧、喫煙、ストレス、糖尿病、肥満、運動不足など。動脈硬化の進行を止めることは出来ないが、進行を遅らせることは可能だ。
適度な運動が最善の予防策。「週に最低三、四日、四キロを五十分くらいで歩くこと」が望ましい。飲酒は適量なら許される。赤ワインはコレステロールを下げる効果がある。