6月17日(火)
ブラジルをはじめ世界各国でも、日本語教育に貢献してきた新宿日本語学校の江副隆秀氏を招いた講演会「日本語と日本文化の普及」が十四日、リベルダーデ区のホテル・バロン・ルーで開かれた。百人の定員を大きく上回る来場者が詰めかけた会場は、日系社会への提言に満ちた江副氏の講演に引き込まれていた。
七月末に予定される戦後移住五十周年記念祭を盛り上げようと、同実行委員会(中沢宏一委員長)が企画。世界各国で日本語教育のエキスパートとして活躍し、ブラジルでもJICAの専門家として来伯経験を持つ江副氏を招いた。
人生を年代事に分類して各世代ごとの特徴を説明する江副氏は、五十周年を迎えた戦後移住についても言及。人生では五十年を迎えれば、これまでの事業をさらに充実させたり、後継者育成に取り組む時期だと説明した上で、「今日系社会が取り組むべきは未来への準備」だと提言した。
特に語学教育を含む教育の重要性を知る江副氏は、日伯学園の設立などについても肯定的で「教育は短期間で売り買いして身につけられない」などと長期的な視点の必要性を説いた。
近年深刻化するデカセギ子弟の犯罪事情についても、「教育」が背景として横たわることを指摘。ブラジルで高校卒業までの十一年教育を受けても、日本では高校卒業の資格を得られない実情を明らかにした上で、「十一年教育を受けても日本では中卒扱い。学歴もなく日本語も話せない若者が犯罪に走る」などと安易な渡日に警笛を鳴らした。