ブラジルの六月は「祭りの月」。田舎風というか田園風の衣装に身を包みケントンを呑みながら踊り楽しむ「フェスタ・ジュニーナ」は多くの恋物語を生む。縁結びの神様・サント・アントニオは日本で言えば「出雲の神様」でありサント・カザメンテイロとも呼ばれ人気が高い。これに続きサン・ジョアン祭がありサン・ペドロ祭でやっと終わる▼大きな街路に花を絨毯のように敷き詰める聖体祭(コルポ・デ・クリスト)も見落とせない。あの賑々しく華美なタペッテ・デ・フロールにー日本移民は誰しもが驚いたものである。復活したキリストに聖霊が降臨したのを祝う宗教儀式だけれども、信徒にとっての喜びは大きい。この祭りはセマナ・サンタとは違い悲嘆ではなく楽しみが主役なのである▼タペッテ・アルテザナルとも呼ぶらしいが、あの飾り付けの美しさは「花の絨毯」がふさわしい。私事で恐縮ながらブラジルに渡ってからミナスの温泉・アラシャで初めて見たときにはー余りの見事さに仰天したのを今でもはっきりと覚えている。その後もマヌエルやパラナイーバなどを見物したが、木屑や卵の殻を綺麗に染色したり色とりどりのガラスとプラスチックを花びらと組み合わせた花の絨毯はある種の芸術品でもある▼きょう十九日は華やかな「コルポ・デ・クリスト」の日である。サンパウロ市内もだが近郊ならパラナイーバがいい。花の絨毯は八百五十メートルもあるそうだしサンパウロなどからの見物客も多い。子供を連れての家族総出はいかがですかー。 (遯)
03/06/19