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レジストロ/史料館に間部作品/遺族「移民の日」に寄贈

6月21日(土)

 日本移民九十五周年及びレジストロ入植九十周年を記念して、ブラジル美術界を代表する一人、故間部学画伯の遺作が間部よしの夫人からレジストロ移民史料館に寄贈され、その贈呈式が移民の日、十八日午後八時から同史料館講堂で行なわれた。
 式には間部家からよしの夫人、故人の長男の健さん(建築家)と孫ラファエル純さん(一九、学生)が出席。地元からはサムエル・モレイラ・ダ・シルバー・ジュニオール市長、アビガユ・マルチンス市議会議長、市高官、近岡マヌエル及びカワモト・イネース両日系市議、山村敏明レジストロ日伯文化協会会長ら役員ほか会員、地元知名人、建築家マルセーロ・ファシーさんら多数が出席した。
 山村文協会長は、「間部さんのご遺族のご好意により今日、移民の日に立派な作品を移民史料館にご寄贈いただき、レジストロ入植九十周年にもあたり、誠に意義深く厚く感謝の意を表します。コロニアはもとより全市民の喜びであり、大きな日伯文化交流でもあります」とあいさつ。
 サムエル・モレーラ市長は、「史料館には五十点に近い日系一流画家の作品がありますが、間部作品を得て一層充実しました」と喜びの言葉を述べた。
 間部健さんは同家を代表して、「この意義ある日に母と長男と私の三人が家族を代表して出席させていただき、厚くお礼申し上げます」と謝意を表明。「亡き父は十歳の時に家族移住、コーヒー園で働き手の一員として汗を流し、雨の日も、余暇を惜しんでも好きな絵を描き続け、長じて有名画家になりました。私はインスチトゥット・マナブ・マベを作り、父の業績を末長く留め、さらに近い将来にはクルソ、画展開催なども手懸けたいと思っています。父の作品がコロニア最古の植民地レジストロの史料館に飾られることは間部家にとっても喜ばしく、意義深いことです」とあいさつ、出席者が感激させた。
 式に続いて、藤間流日本舞踊学校芳嘉、芳寿、芳翁、芳苑各名取と田畑ひろみさんら一行により格調高い日本舞踊があり、レジストロでは有意義な「日本移民の日」を祝した。
 ◇間部学画伯◇
 一九二四年九月十四日、熊本県不知火生まれ。三四年、十歳でブラジルに家族移住し、四十年、ビリグゥイを経てリンスに入植、四六年から本格的に絵を描きはじめる。五七年、サンパウロに移転。五八年、レイネル賞受賞(全ブラジル作家参加)。五九年、第五回ビエンナーレ展で国内大賞を大統領から受けたのをはじめ、数々の内外展で受賞。同年、アメリカのタイムス誌が「間部の年」と題し、最も多く受賞した画家として紹介。六九年、ブラジル政府より「リオ・ブランコ勲章」を受章。九七年九月二十二日、七十三歳で死去。