6月24日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】ルーラ大統領は二十日、ブッシュ米大統領と首脳会談を行い、二国間の通商と投資に尽力する共同声明を発表した。特に注目された米州自由貿易地域(FTAA)構想の農産物補助金問題は、先進国が途上国の立場を理解し、二〇〇五年の発足までに基本的解決することで合意した。パロッシ財務相は、スノー米財務長官と両国の実務協議のための経済諮問会議を設立することで合意した。
伯米首脳会談は最大の山場とされた農産物補助金問題を、二〇〇五年のFTAA発足までに米側が解決することで決着した。これで農産物問題は、関税外障壁を築き自由貿易を拒む日本とEUへ矛先が向けられることになった。
会談を終えたルーラ大統領は伯米両国が今後、特殊事情を理由に経済格差や技術格差を持ち出して聖域を設けることは許されないと述べた。両国は全ての障壁を廃し、同じ土俵で裸の戦うことになるとした。
両国要人の昼食会では、
ブッシュ米大統領が「我々はお互いに誤解していた。伯大統領は政治経済ばかりを心配し、米大統領は貧乏人のことばかり心配していた]とユーモアを交えて、「米国からみると両国はますます親密な関係にある」とした。伯米関係は世界が驚異する戦略的な同盟関係となったことを確認した。
アモリン外相は首脳会談は表敬や意見調整の域にとどまらないと述べた。両国政府の同盟関係樹立で外交戦略上、ブラジルが南米の雄であると米国が認めた画期的出来事と評した。
ホワイトハウスの広間に伯大統領を迎えた米大統領は、半年の間に三度目の出会いであり両国関係がいかに重要であるかを示すものと述べた。ルーラ大統領は昨年十二月、当選あいさつのホワイトハウスもうでを行い、次はフランス・サミットで、会談を行った。
ルーラ大統領は、ラテン・アメリカの指導的役目を任じることで革新政権の抱負を述べた。南米地域の経済的発展が政治的安定をもたらすとしキューバやベネズエラ、コロンビアなどに、ブラジルの覇権を確立する考えのないことを、米大統領に説明した。
ブラジル政府が指揮を執る南アフリカやインド、中国、ロシアなど〃化け物〃のような途上国G5について、米大統領は方法と展望について質問をした。大統領は野心によるものではなく弱者の相互扶助であり、これら途上国の行動を待たずブラジルの積極外交で実現する計画だと述べた。
伯米首脳会談でFTAAが、大きく結実した。エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された世界貿易機関(WTO)閣僚会議に出席したゼーリック米通商代表は二〇〇四年十二月までに、農産物の市場自由化に向けて日本とEUに最後通告をたたきつけるという。ブラジル外務省は、米国の極端な変化と熱烈外交に驚いている。