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本紙記者がのぞいた=亜国日系社会は今―2―=同朋救済や移民史編纂=在亜日系団体連合会=日系社会の調整役

6月27日(金)

 在亜日系団体連合会(FANA・石川フリア会長)は、在亜日系社会の代表機関として、所属団体の機能調整役を果たす連合組織体である。
 『アルゼンチン日本人移民史』によれば、亜国内の日本人会として、一九一〇年代には鹿児島県人会と沖縄県人会がすでにあったという。
 県人会の枠を越えた最初の総合日本人団体「大正会」が発足したのは一九一二年のこと。一九一七年、在亜日本人青年会を前身とする在亜日本人会が発会する。 
 以後、同会が常に日系社会の代表期間としてその役割を果たしてきたが、同会と公館の意見対立に端を発し、同会が日系社会において孤立し、同会に代わる代表機関が求められたー。(在亜日系団体連合会事業概要による)
 九十年には在亜日系団体代表会が設立され、その後在亜日系団体連合会(FANA)と改称し、法人格も取得している。
 現在FANAに所属しているのは、地方日本人会や県人会など四十二団体。今年あったサンタフェ州であった大洪水の被害を受けた現地日系社会のために食料、衣類などの救援物資を輸送するなどの活動を行っている。
 〇〇年にはアルゼンチン日本人移民史編纂委員会の設立を呼びかけ、昨年には『アルゼンチン日本人移民史』の戦前編を発行している。
 しかし、年間行事として行っているのは、年二回の叙勲祝賀会や海外日系人協会が行っている研修生派遣の人選などといった、日系社会のなかでもごく一部に限られているのも現状といえる。
 運営などは会費で賄われているが、支払いの滞る〝幽霊団体〟もあり、事務職員なども、国際事業団から派遣されてくる日系社会青年ボランティアに頼っている状態だ。
 JICA日系社会青年ボランティアの杉下由紀子さんによれば、一世の減少により弱体化した県人会から、「(FANAが)日本側との窓口になって欲しい」などの要望もあり、理事たちからは、県人会の団結を強める必要性を認める声も出始めているようだ。 同会の目的にあるように「文化、スポーツ、社会福祉事業などにおいて、アルゼンチン日系社会の融和と発展に寄与する」と共に「日亜両国政府およびその他の公共団体または、民間団体の均衡に携わり、日亜両国の友好と発展に貢献できるよう協力する」ことを期待したい。
    (堀江剛史記者)

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