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芸能留学生に奨学金=沖縄ならではの実行=チャリティ公演で資金づくり

7月1日(火)

 [那覇]県立郷土劇場で、去る六月十三日昼と夜、世界ウチナーンチュ子弟留学生支援チャリティ公演(主催、同実行委員会=嶺井政治委員長)が行われた。
 人間国宝照喜名朝一、島袋正男、八重山古典民謡安室流保存会や玉城節子、玉城秀子、谷田嘉子、金城美枝子、島袋君子の各琉球舞踊道場、花わらび、など豪華な顔触れで、伝統芸能を学ぶウチナーンチュ子弟に母の心、父の心で、支援の手をさしのべた。
 県立芸大で一年間の留学期間を終えて、なお、沖縄に残り、伝統芸能を深く学びたいとする二世たちに対して、経済的に支援を意図、特別奨学金を創成するため行ったもので、芸大や私費で学んでいるウチナーンチュ子弟も公演に出演した。
 座嘉比シモーネ利代子さん(ブラジル)は「本部なーくにー」「あんまアかたみぬいちばん着物」の二曲を唄い、ペルーの伊芸エクトルさんは「あやぐ」「海のちんぼうら」の二曲、大城パメラ・カロリーナさん(アルゼンチン)は「かぎやで風」を踊った。
 また、稲福マルセーラさん(アルゼンチン)は「花笠」、玉那覇ロシナ勝美さん(アルゼンチン)は「前ぬ浜」を踊り、それぞれ大きな拍手を贈られた。これほど多数の二世が出演したのは初めて。
 特に、昨年、芸大で学び、特別奨学生第一号として三味線のつくり方の技術研修を受けている謝敷アンヘルさん(ペルー三世)は、自分でつくった三味線を持って「梅の香り」を唄い、聴衆に感動を与えた。アンヘルさんは自作の三味線を伊良皆高吉議長に贈り、感動を倍加させた。
 特別出演として、芸大で三味線を学んでいるチュニジアからの留学生モハメド・ブリさんが「ていんさぐぬ花」「なりやまあやぐ」を唄い、沖縄の伝統芸能が世界的になっていることをうかがわせた。もう一つのハイライトは、南米のクルチといわれているボリビアのワイヤカンでつくった三味線が披露されたこと。これは、いまのところ、沖縄で一つしかなく、伊良皆議長がこれを弾いてトバラーマを唄った。南米に新しい三味線文化の芽を感じ、沖縄芸能の深さに感動したのである。
 もう一つの話題は、ペルー四世の赤嶺清美ちゃん、現在高校一年生。「花わらび」(少女舞踊団)のトップスターだ。伝統芸能を学ぶ四世がいることに、大きな喜びと誇りを感じた。
 今回の収益金は国際交流・人材育成財団を通して、伝統芸能を学ぶウチナーンチュ子弟の特別奨学金に充てられることになっている。子弟たちにとってビッグニュースだ。(照屋聡子さん通信)