日本が「減反」で知られるコメの生産調整を廃止するという。戦後の食糧不足を知る者には信じ難いが、日本の食は大きく変わった。主食はコメにしてもパンの普及などで需要は減る一方で「コメ余り」現象が言われ始めてから久しい。不作や緊急時に備える在庫米も百五十万トンが適正とされるのに現状は三百万トン近くに膨れ上がっている▼農業就業者も総人口の一〇%超を占めるだけになっているし高齢化が進み経営が困難になっている農家も増えている。将来的には北海道で十ヘクタール以上、都府県で四ヘクタール以上の耕地を持つ農家を育成する計画のようだが、ある程度の面積があれば国際的にも太刀打ちできるのは間違いない。機械化も進み一人当たりの作業量は昔とは比較にならず田植えも稲刈りもがトラクターと農機なのである▼日本の耕地面積はほぼ四四〇万ヘクタールなのに約百万ヘクタールが減反を強いられている現状は改めるのが筋だと思う。しかも、「減反」には補助金としての財政負担は年間で三千九百億円にも達している。こうした予算に対して東京や大都市の市民らから「無駄遣い」の批判の声が上がるのは当然すぎるほど当然と言っていい▼政府が掲げる農地の拡大もながら、兎にも角にも農家が立派に経営できるような基盤の整備を急ぐことだ。日本人にとって「日本のコメは美味」なのだが、世界で一番高いのも事実なのである。これを如何に安くかは難題ながらその一歩としての「減反廃止」は歓迎される。 (遯)
03/07/01