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ポンタル・デ・パラナパネマ 地主ら MST撃退へ=本格的私兵と契約=雇い兵200人が農場警護=政府の日和見への対策

7月4日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】ルーラ大統領は二日、農地占拠運動(MST)の指導者二十七人をプラナウト宮に招集し、農場占拠や食料略奪が農地改革の妨げになっていると警告した。MST活動に政府の毅然とした対策が期待できないことで、サンパウロ州ポンタル・デ・パラナパネーマでは地主らが、本格的な訓練を受けたプロ集団を農場警護のために契約している。約二百人の雇い兵が、同地方に散在しているようだ。

 プラナウト宮でMSTとの会合が行われたのと同時刻、ポンタル・デ・パラナパネーマの農場に十五人からなる農場警護の集団が到着した。団員は百戦錬磨の強者で、装備している銃器も、陸軍特殊部隊の兵器だ。いずれも特別作戦のために、高度の特殊訓練を受けた強者ぞろい。
 銃器類はブラジル陸軍規格の自動小銃AR15や拳銃38口径、小型カービン銃12、大型カービン銃44などを所持している。
 この私兵集団の目的は、今のところ農場警護だけ。雇い主の命令によりMSTが境界線に近づいたら威嚇射撃を行い、農場内に一歩でも足を踏み入れたら発砲するよう指令された。
 私兵集団の披露には、地主の招待により新聞やテレビのマスコミ報道陣が招かれた。団員は全員目出し帽を被り、身元確認を隠している。地主の説明では、政府の農地占拠に対する生ぬるい対処に抗議するのが目的。MSTの不法占拠と掘っ建て小屋作戦に、これ以上一歩たりとも譲歩しないとにらみ合っている。
 地主の一人は五回、MSTに農場を荒らされた。損害賠償は、ウヤムヤになったと抗議した。次回は目にものを見せるとの見幕で、こけ威しではないと息巻いている。私兵集団のリーダーが紹介され、国道の州境で契約したと述べた。
 記者の車が農場正門に到着すると、草の茂みの中から一人の目出し帽に黒いサングラスをかけた団員が誘導した。他の十四人は木陰の茂みの中で監視していた。全員は長袖のジャンパーを着用し武装していた。リーダーは地元の人で、他は全国から〃召集〃した。
 給料は家族寝食つき二最低賃金、警備の仕事がないときは牧夫に早変わりする。非常時は二十四時間勤務で、交替で睡眠をとる。装備の兵器は、いずれも市販が禁じられているものだ。
 どこで銃器を入手したかは、口外することを禁じられている。法律で所有禁止とは全く知らないが、主人からあてがわれた武器で使い慣れているものだと団員らはいう。
 ポンタル地方全体では、約二百人の百戦錬磨の警備員が雇われているといわれる。新型兵器類は、南マット・グロッソ州から大量に流入しているという情報だ。