7月4日(金)
放送開始八十年を迎えるNHKが、ブラジル移民をテーマにドラマ製作へー。
―渡伯直前に離れ離れになった姉妹が時代に翻弄されながら、ブラジルと日本で別々の人生を歩んでいくー、といった内容で、原作、脚本は「おしん」「渡る世間に鬼ばかり」の橋田壽賀子さん。すでにNHK関係者と今回のドラマのコーディネーター役を務めるという「ガイジン」の主演女優、塚本恭子さんは五月に来伯しており、文協や日本移民史料館関係者と顔を合わせている。撮影時の協力を要請されたという文協の吉岡黎明第一副会長は「最近、日本で忘れ去られようとしている移民の物話が、こういう形で取り上げられるのは非常に喜ばしいこと」と大きな期待を寄せている。
共同通信によれば、海老沢勝二NHK会長は三日の定例記者会見で、放送開始八十年を迎える二〇〇五年秋にブラジル移民をテーマにした記念テレビドラマを放送すると発表した。NHKは三日午後七時ニュースでも正式に公表した。
タイトルは『ハルとナツ・届かなかった手紙~ブラジル移民物語』(仮)。各回七十五分、五回連続で放送される予定だという。配役は今秋発表される予定。
橋田さんは「日本だけでは書けないことが、ブラジルを通して見えてくると思う」と話し、海老沢会長は「『おしん』を越える作品になって欲しい」と期待を寄せている。
日本から送られてきた第一回目のシナリオの要約(ポ語に翻訳されたもの)を読んだという史料館の大井セリア館長は「非常に素晴らしいストーリーで一気に読んだ。(近日中に送られる予定の第二回目を)早く読みたくて仕方がない」とその内容の素晴らしさを評価する。
塚本恭子さんは、「歴史に忠実なドラマを作りたい。ブラジルや移民の生活の様子なども多く取り入れる考えが制作者側にある」と話したという。
なお、ドラマの舞台になる戦前の移住地などの様子を撮影した写真など約三十枚の資料提供の依頼を行っている。
文協の吉岡副会長は「ブラジルや日系社会、日本移民の歴史を知ってもらういいチャンス。文協としてもできる限りの協力はするつもり」と話している。ブラジルでの撮影は来年行われる予定で、グローボTV局も協力するとの話もあるそう。