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グァタパラ植林案件再び動く=米州開銀へ=無償資金助成を申請=文協、市と共に環境保全を

7月8日(火)

 [既報関連]七月三日、グァタパラ市長の代理者とグァタパラ農事文化体育協会の代表二人がブラジリアを訪問して、米州開発銀行ブラジル駐在事務所(BID伯事務所)に植林計画書への無償資金助成を申請した。市長代理はギルデミール・デ・ソウザ市会議員、文協代表は新田築副会長(島根県出身)と林良雄財務理事(茨城県出身)で、申請書はBID伯事務所を代表したヘラルド・マルテネス氏(メキシコ人)に手渡された。
 本紙二〇〇二年二月十九日の報道によると、一九六二年一月十二日に日本から戦後移住者の第一陣が入植したのが新しいグァタパラ移住地の始まり。
 環境問題が世界的な脚光を浴びている中で、グァタパラ文協は同移住地を流れるモジ・グアス川流域の環境保護の重要性に着目して、二〇〇〇年に地域住民が参加できるような植林構想を立て、まず、自分たちでできる範囲での植林に着手した。
 これには、移住地の次代を担う二世の子供たちも参加している。その輪をさらに拡げるために、モジ・グアス川流域にある遊休地五十ヘクタールを選定、長期的視野に立つ植林計画を立案したところ、グァタパラ市当局が着目して文協に協力することになった。
 が、市当局と文協の資金能力だけでは対応が困難なため、米州開発銀行の中にある日本特別基金に無償資金助成を申請した。ワシントンにある米州開銀(BID)本部に送付されたはずの申請書が、手続き上の都合で二年もの間、ブラジリアに留まったままだったことが、今年の五月に判明したため、同伯事務所の助言により、グァタパラ市が再度申請書を提出することになった。
 六月十日付の申請書の中でルイス・カルロス・ステーラ市長は「グァタパラ市役所は、モジ・グアス川流域の環境破壊に緊急な対応が要されるため、グァタパラ農事文化協会が貴機関(BID)に申請した環境保全を視野に入れた植林事業に全面的に協力を約束いたします」とした上で、「市役所は支援機関としてこの植林事業に参加し、市民はもとより、青少年などが自然保護の大切さや環境破壊の悪影響などを行動を通して学び、将来に備えて欲しいと願っています」(原文・ポ語)と述べている。
 七月三日、再提出の申請書を受理したヘラルド・マルテネス氏は、グァタパラ市長代理と文協代表に「(当事務所の)内部事情により事務処理が遅れて申し訳ない。この申請書は金曜日(七月四日)に必ずワシントンに送付することを約束します」と言明した。
 植林構想の提唱者でもあるグァタパラ文協の川上淳会長は「大変な紆余曲折を経たが、私たち移住者が、植林活動を通して地域社会の豊かな未来建設に貢献できる〃環境〃がこれで一歩前進したと思う」と胸をなでおろしている。このグァタパラ移住地では、来る七月十三日(日)、先没者慰霊祭と第四十一回入植記念祭が行われる。