笠戸丸移民二百余名が入植したリベイロン・プレット地方を先週末訪ねた。
炎天下の七夕祭り会場。スキヤキの湯気がもくもくと上がっている。スシよりも人気が高い当たりは内陸らしい。牛飼いのひこぼしが銀河の彼方で微笑む姿が見えた気がした。
同地方は銘水が湧くことで知られる。アンタルクチカ、カイゼルといったビール会社が工場を置いた時期もあった。ビールといえばこの地だ。
「泡立つビールに牛鍋をつついた」。一九〇八年四月、石川啄木が残した日記にはそうある。文明開化の味に喜々とした明治の様子が、九十五年を経たいま、地球の反対側ブラジルで再現されている。
”食の革命”であった牛鍋は討ち入りした赤穂浪士にも好まれた。明日は護憲革命。命を張る前に当時のパウリスタが何を食べたか、興をそそられる。(大)
03/07/08