7月9日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙八日】一九九〇年代は世界的に生活水準が悪化し、アフリカ諸国など五十四カ国で平均所得が低下、貧困が深刻化したことが八日、国連開発計画(UNDP)が公表した二〇〇三年版「人間開発報告書」で明らかになった。このような状況下でブラジルは、百七十五カ国を対象にした「人間開発指数(HDI)」で、昨年度の六十九位より四位上昇、六十五位になった。
HDIは、国民の所得や一人当たり国内総生産(GDP)、平均寿命、識字率などをもとに、各国の社会、経済の現況を示す開発度合いを表すもの。HDIは0から1まで。最高数値の1は、国の開発度が最高であることを示す。ブラジルのHDIは昨年の0・772から0・777に上昇した。
一九七五年から二〇〇一年までに、ブラジルの一人当たりの年間平均所得は、〇・八%増加した。世界の平均値は年間一・二%増、途上国は二・三%増、先進国は二・一%増で、ブラジルの増加率はいずれの平均値よりも低い。今年度の報告書はカルドーゾ前政権下にあった〇一年のデータに基づく。
ブラジルは、中開発国とみなされる。南米の高開発国は、アルゼンチン(三十四位)、ウルグアイ(四十位)、チリ(四十三位)など。コロンビアは六十四位でブラジルより一位高かった。
所得面では満足できない結果のブラジルだが、過去数年間に行われた教育面への投資が、このほど順位を四ポイント上げた要因となった。特に、ブラジル人生徒の入学率が九二・九%になったことが重視された。
同報告書では、ブラジルの飢餓ゼロ計画などが高く評価されており、国連側は二〇一五年までに、少なくとも食糧難は解決できると推測。同年は、国連ミレニアム総会で掲げられた「ミレニアム開発目標」(貧困・飢餓の人口割合を半減させるなど八項目)実現のタイムリミット。反面、「現在の所得問題の解決スピードを考慮すると、貧富の差は同年までに思うように解決できないだろう」との見方も表明している。
HDIでは、ノルウェーが三年連続でトップ(HDI0・944)。二位アイスランド、三位スウェーデン、四位オーストラリア、五位オランダ。日本は四年連続で九位となった。一方最下位はシエラレオネで、HDIは0・275だった。