7月11日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】政府首脳部は九日、公務員の最終給与を年金として全額支給する改革修正案を容認することで譲歩した。州知事らの承諾をも得る必要があるが、年金改革の政府原案が大きく後退した。容認の代償として公務員の勤務期間延長と歳出総額の削減を条件としている。これは最高裁長官と統一中央労組(CUT)反主流派の圧力に、政府が譲歩したもの。
連立与党幹部は、最高裁のコレイア長官をはじめ法務関係者のスト突入を示唆した強硬な要求とCUT反主流派案を考慮した。ジルセウ官房長官とPT過激派議員をも交えて、連立与党は容認を決定した。
要求は、年金に最終給与の全額支給とした。定年年齢を男性は六十歳から六十五歳へ、女性は五十五歳から六十歳へ引き上げる。掛け金の納入期間、男性三十五年、女性三十年は不変。公務員の最低勤務期間を男女共に二十年から二十五年に引き上げるもの。
年金改革の修正案は、州知事にも説明して承認を得なければならない。もし最終決定となった場合、二〇〇四年から二〇一〇年までに掛け金納入期間の五年延長で、社会保障院は原案の百六十五億レアル節約から百七十二億レアルの節約となり、州財政にも負担が軽減するとみている。
政府首脳部が譲歩決意に
至るには、最高裁長官をはじめとする圧力が功を奏した。政府にとっては、年金改革の大黒柱が一本引き抜かれたことになる。これはルーラ大統領の「神以外何者をも、ブラジルの発展を妨げることはできない」とした発言で、大統領府と司法府の間のぎくしゃくとした関係を調整した。
テレビ、ラジオを通じて、政府が司法府を異常事態に追い込んでいると訴える政府攻撃キャンペーンを大々的に張ると、力んでいた最高裁長官をなだめるのに政府は苦慮していた。司法府とのもんちゃくは最終的に、最高裁の異議申し立てで改革が座礁しかねない。
サルネイ上院議長とメルカダンテ上議、カリェイロ上議の三人は九日夜、最高裁長官を訪ね、ご機嫌伺いをした。年金改革に限らずブラジルが置かれている現状下で、祖国発展のために司法府が、何を考えているかを打診した。
一方、CUTは政府の譲歩は、一つまみの特権階級の過保護となる不愉快な決定であると声明を発表した。政府は高額所得者の圧力に屈したのであって譲歩は誤りであると、マリニョ理事長は非難した。下級公務員の犠牲によって、私腹を肥やす司法府や立法府の上層部を優遇した不公平な譲歩と指摘した。
CUT反主流派の社民労組(SDS)のサントス理事長は、年金の全額支給には政府の譲歩を評価するが、単なる公務員ストを阻止するための策略とみていると述べた。政府の譲歩には、まだどんな落とし穴が用意されているか分からないと疑っている。