NHKテレビがブラジル移民をドラマにし、〇五年放映をするという。脚本は橋田壽賀子氏を起用、七十五分ものを五回だというから、時間に不足はないといっていいだろう▼過去、米国への移民をテーマにした映画、テレビドラマは少なくないが、ブラジルはあまり扱われなかった。特に、ブラジルのこと、移民のことを知らない日本人視聴者が「真のブラジル、そこに移民した日本人、その子孫」を理解できて、鑑賞後充足感を覚えるドラマがつくられることをいまから期待したい▼テレビドラマを観ていると、それが昔の日本の場合、おかしい、とか、あれは違うな、と思うことがある。日本を知っているからである。一方で、ドラマの制作者が考証を十分にせず、知らなかったか、手を抜いたからだ▼ドラマはフィクション(作りごと)だから、作者(原作者、脚本家)は、自分の想像、創造を思うさま膨らませることができる。それはいい。ただ、過去の事実を誤って(画面で)説明するのは許されない。考証不徹底は、ドラマの作品としての質が問われる▼外国を舞台にしたドラマについては、視聴者が過去および現在の事実がわからない場合が多いので、ドラマをそのまま〃信じて〃しまいがちだ▼NHKが制作する、ブラジル移民のドラマは、いわば、日本においては、外国人が観るのとほとんど同様だ。もし、考証が不十分では遺憾である。まだ、東山農場でのロケなど、さきの話なのに気にかかる。(神)
03/07/11