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大統領 英国で気炎はく=米批判で物議かもす=金利 インフレ連動制に

7月15日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】革新派政権会議に出席のため訪英中のルーラ大統領は十三日、
米州自由貿易地域(FTAA)構想について満足すべき結果が得られないなら、世界貿易機関(WTO)で先進国から途上国へ資産が還流されるシステムを確立することに尽力すると述べた。
 BBC放送の記者会見にこたえ、ブラジルの金利はインフレ率に連動する金利システムを採り入れると、大統領は公約した。インフレが下がれば自動的に金利も下がり、景気は回復局面を迎えるものでなければならないと言明した。 
 〃第三の道〃と呼ばれる革新政権会議が、英国ロンドンで開催された。ルーラ大統領は席上、米国はその偉大さに押しつぶされていると批判し物議をかもした。
 米大統領に独走を謹み積極的に国際会議に出席するように、ルーラ大統領は呼びかけた。大統領は皮肉を込めて、米国について感銘するのは第一に自国の利益を考え、第二に自国、第三に自国、さらに時間的余裕があるなら、また自国の利益だとやゆした。
 米国の軍事力、技術力、政治力には誰もが一目置き、報復を恐れて米国批判を避けてきただけに、一部から拍手喝采を浴びた。イラク戦争に言及したとき、米国はその偉大さが負担になっていると、大統領は評価した。
 エヴィアンのG8サミットで仏独首相がイラク武力介入を批判していたのを大統領は耳にしたとき、米大統領は米国のメンツを損なわず武力介入を中止する助言を求めていたと、大統領の見解を述べた。
 しかし、米大統領に助言するだけの勇気をもったG8首脳はいなかった。米大統領は米国民にイラク武力介入を訴え絶対的支持を得たので、いまさら大統領の一存で後戻りはできず困っていた。G8首脳らの助言により、武力介入中止という演出を期待していたのだという。先進諸国首脳は、それだけの器量を持ち合わせていないと評した。
 会場は白け、ポーランドのクアスヌルスキー大統領が反論した。「米政治をおちょくるのは容易だが、ポーランドが民主政治を回復したのは米国のおかげだ」とルーラ批判を行った。
 ルーラ大統領は、共産圏と非共産圏は米国の政策上形成されたもので、ベルリンの壁崩壊は米国のおかげによるものではなく、戦略上不要となったのだと弁明した。南アフリカのムベキ大統領が、テロ対策では米国を支持するが、途上国対策ではルーラ大統領にも一理あると抗弁して座を収拾した。