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ルーラ大統領 途上国サミットを提唱=大国のエゴ封じる=保護制度は差別政策=東西に代わる〃南〃陣営を

7月16日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】ロンドン滞在中のルーラ大統領は十四日、ロンドン・スクール政治科学の講演で、先進国の貿易差別政策に対抗する〃南〃陣営の設立を提唱した。米国EU連合による国際市場の一極支配に対抗するため、途上国連合の結束を促した。一方ドンナ・リナック駐伯米大使は、革新政権会議での大統領発言が、六月に行われた伯米首脳会談の趣旨を損なうものとけん制した。

 大統領は、先進国の保護貿易政策が貿易アパルトヘイトであると断罪した。ブラジルをはじめとする途上国は国際競争力を養うためにこん身の努力をして曙光(しょこう)が見え始めたが、先進国の資金力にものをいわせた保護政策が途上国発展の芽を摘み、国際協調をゆがめる制度であると弾劾した。
 先進国の保護貿易は、純然たる差別政策で世界に極貧階級を生み出す元凶であるので断固その排除にために戦う覚悟と、大統領は宣言した。周到に形成された米EU連合支配と一極偏重の国際市場を是正するために、対抗馬としての途上国連合が必要だと述べた。
 「先進国連合は狡猾(こうかつ)だ。弱者虐待には、情け容赦もない。自分の懐肥やしに徹し、途上国には一顧だにしない。途上国存続のため、国際市場へ割り込むには途上国連合しかない。その核となるのがメルコスルであり、足元の強化は急務だ」と、大統領は述べた。
 強化第一歩は、メルコスルEU共同市場の設立。これが、米州自由貿易地域(FTAA)交渉への切り札になる。第二段は、南アフリカやインド、ロシアへの接近。これで米国依存から独立できるし、米政府もブラジルの実力に一目置くという。その後で対米交渉の席に着きたいとした。
 エヴィアン・サミットに招待されたブラジルや中国、インド、アルジェリア、メキシコを招待するには及ばないと、大統領は述べた。我々は、我々のサミットをつくる。ブラジルは、途上国連合をつくって国際市場参入の足場をつくる。そのため多国間協調と国際規定を、国際秩序の二本柱として確立する必要があると述べた。
 英紙〃タイムズ〃は見出しで「ルーラいわく、抱擁が世界を救う」と報道した。しかし、同紙は紛争解決に抱擁では間に合わないと批判した。ルーラ大統領の見方は、富者と貧者の区分けだと評した。貧者の生活水準を富者の水準に引き上げるには、地球がもう三つ必要だという。
 大統領はFTAAに言及して、ブラジルは補助金制度が、その後どのような経緯をたどっているか注目している。交渉期間は二〇〇四年十二月までと限定。農産物補助金制度の廃止に向けて米政府が努力をしないなら、FTAAは米自身の問題とみなした。
 対等な立場で途上国と先進国が競うのがルールであり、先進国の一方的なごり押しは受け入れられないと、大統領は述べた。一方亜紙は、伯米首脳会談で同盟関係を結んだ見返りは何だったのか見えないと、冷笑する論評を載せた。