ブラジルの現政権は、「飢餓ゼロ」を標榜して真剣に取り組んでいる。これの一助となるのではないか――と考えられているものに「大豆を食べよう」運動がある。あるといってもまだ本格的とはいえないが、日系有力者らの主唱により進められていてかなりの賛同、協力者があると聞く。未来を明るく促えた異色プロジェクトの早期実現が待たれる▼大豆と聞けば味噌、醤油、豆腐、納豆が思い浮かぶ。それほど日本人にとり身近で食生活には欠かすことのできない〃必需品〃といってよい。過去において戦中派には食料難時代の苦い体験がある。配給米の代替えに搾油後の大豆粕があてがわれたことがあった。必死にすがって空きっ腹の足しにしたひととき……。大豆はたといカスであっても人の生命を救い癒すことができる一例だ▼時代も変わり、世界の平均的食生活は向上した。とはいえ、私たちの周囲には食に恵まれぬ人々が多い。これら貧困者の栄養不足を補うには蛋白質に富む〃畑の肉〃と呼ばれる大豆を食べること、特に加工された豆腐が手っ取り早い。癖がないので一般家庭の食卓に乗せやすいし、健康増進に役立つ。まず自家用に豆腐の作り方から始めたい。要は大豆と加工品のよさに目をつけさせることだ。近年の日本食ブームに乗せて大豆の魅力をたっぷりアピールしたらと思う▼このブラジルにあって大豆が好き、豆腐大好き――の声が聞かれる食文化の開拓、伝播を夢見るのは楽しい。
(田)
03/07/16