ルーラ大統領 スペイン親善の旅=カルロス国王 歓待=正装で晩さん会に出席=豪華けんらんの舞台へ
7月17日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十六日】訪欧中のルーラ大統領とマリザ夫人は十五日、次の訪問地スペインでフアン・カルロス一世国王とソフィア女王の出迎えを受けた。かつてペルナンブッコ州の寒村から難民トラックの荷台で家財道具に揺られながらサンパウロ市へやってきた大統領は、エル・パルド宮公用車の黒塗りロールス・ロイスで宮殿に迎えられた。同宮はスペイン王室の御用邸で、大統領夫妻は王族の歓迎式典に臨んだ。
エル・パルド宮はいま、外国の国賓用迎賓館として用いられている。国賓としての正式日程は、十五日からとなっている。大統領は予定より一日早くスペインへ到着して、いわば裏口から入って来た。国王の出迎えを受けた十五日、はじめて正門から入る。
両国国歌吹奏と祝砲を放った後、大統領は国王とともに王宮儀礼兵の閲兵を行った。ポルトガルの閲兵式では、大統領は前かがみであったが、スペインでは反り返っていた。王宮入り口で大統領は、儀礼兵長から王宮の伝統である名誉の訪問とする歓迎あいさつを受けた。
大統領はじめブラジル側随行員は、軍楽隊が行進曲を奏でる中、国王と儀礼兵に案内されて大広間へ通された。同宮は一九三九年、フランコ・バハモンデ総統のスペイン内戦から、一九七五年の死去まで独裁政治の舞台となっていた。
二十六年かかって建造されたというブルボン王朝宮殿内の最も豪華な大広間で、出席者全員が正装し晩さん会が催された。王宮職員の失策でマリザ夫人が、ロールス・ロイス内に閉じ込められるというハプニングがあった。大統領夫妻と国王夫妻が記念写真を撮るとき一人不足に気づき、国王が夫人を救出した。
スペインの各紙はルーラ大統領の同国訪問にかんがみ、三百億ドルといわれるスペイン企業の対伯投資に、保護政策を打ち出すよう要求した。長年にわたってスペインの対伯投資は全体の一%程度であったが突然、金融や電話への投資が二五%も飛躍した。電話料金の調整が、裁判所判決で保留されたことに抗議した。
大統領に随行したアモリン外相は記者団に、ロンドンで行った大統領の米批判演説が誤解されていると述べた。駐伯米大使の伯米首脳会談の趣旨に反するとする談話に接し、真意が解されず遺憾だとした。大統領はキューバに対する米国の経済制裁解除にも触れたが、伯米間での協議事項からみれば、大統領演説は取り立てる程のことではないと、外相はみている。