7月17日(木)
近年まれに見るVIP(大物)ラッシュ――。二十六日に開催される戦後移住五十周年記念式典。移住再開半世紀に加え、日本移民九十五年の節目の年にも当たることから、式典には多数の来賓が来伯を予定している。日本からまとまった数の政治家が来伯するのは一九九八年の「移民九十周年祭」以来。日系社会の大きな節目として五年後に挙行される「百周年祭」につなげるためにも、貴重な場となりそうだ。同実行委員会の中沢宏一委員長は「五十周年とフェスチバルに関わる人だけでなく、日系社会全体が一つになって訪伯団にアピールしたい」と意気込みを見せる。
同記念式典を挟むようにフェスチバル・ド・ジャポン(県連主催)と各県の創立式典が予定されていることもあり、日本から訪れる県関係者らは総勢約三百人に上る。九十周年祭以降、日系社会全体を挙げたイベントがなかったため、久々に大規模な式典となる。
創立式典を実施する岩手、広島、高知、宮城、兵庫の五県からは知事と副知事の計五人が来伯を予定。これだけ複数の知事がまとまって来伯するのは、一九九八年の「日本移民九十周年祭」以来だ。
今回の顔ぶれには、橋本龍太郎元首相の弟で、元NHKキャスターとしても知名度の高い橋本大二郎高知県知事、「知事から日本を変える」宣言で知られ、地方分権の旗頭を掲げる首長の一人として名高い浅野史郎宮城県知事も含まれる。また、岩手県の増田寛也知事、広島県の藤田雄山知事、兵庫県の藤本和弘副知事、福岡県の稗田慶子副知事も来伯する。ともに滞在は一週間に満たない強行スケジュールだが、増田岩手知事はトッパン市やアルゼンチンも訪問を予定、また藤田広島知事は、祖父が約三十年前の知事時代に足を運んだことがあるベレーンを訪れ、現地の県人会とも交流を深める。
橋本、浅野の両知事と藤本、稗田の両副知事は二十五日、赤阪清隆サンパウロ総領事との昼食会に出席予定で、またこの昼食会にはアウキミンサンパウロ州知事も招待されている。
日本政府を代表する予定だった土屋品子衆議が、国会の会期延長に伴い来伯をキャンセル。代わって池田維ブラジル大使が、政府代表として出席する。また、日伯議員連盟からは、一度は訪伯不可能とされた後藤博子参議が送られる。大分県選出の後藤議員は、アマゾナス州へ工業移住し、三年間同地に滞在した経験を持つだけに、日系社会への知識も豊富だ。
一方、出迎えるブラジル側の目玉となるのが、大統領府広報長官の要職にある具志堅ルイス氏だ。現在、日伯議員連盟会長を務める小林パウロ氏を経由して具志堅広報長官に式典への出席を依頼。「行動予定表に自ら出席を書き込んでいる」と同氏の関係者が証言するだけに、出席はほぼ確実だ。具志堅氏とアウキミン州知事、マルタサンパウロ市長が壇上に顔を揃える。
また、同記念祭実行委員会ではルーラ大統領にも出席を依頼しているが、まだ正式は返事はないという。