7月18日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】ブラジル・スペイン両国は十六日、メルコスル・EUの自由貿易協定(FTA)に向けて陣頭指揮を執る協定を結んだ。ホセ・M・アスナール・スペイン首相はルーラ大統領と昼食会の席上、両ブロックの結合で問題点討議に意欲を示した。両国は財務省と外務省の実務者グループによる連絡協議会の設立で合意した。また伝統的思想や政権政策を超越することでも合意した。
合意協定の第一歩は十月、スペイン首相が来伯しPT政権への信任を表示する。ブラジルが高率のカントリー・リスクを負う中で、ルーラ大統領が政権を引き継ぎリスク沈静化に成功し、国際信用の回復を遂げブラジルの未来を確立した功績を、スペイン首相は評価した。
ブラジルはすでに、ロシアや中国、インドと多国間交渉を展開中。このようなとき、EUの窓口としてのスペインが得られたことは有意義だと、アモリン伯外相が述べた。パロッシ財務相もスペインがEUの中で対伯投資の筆頭であり、今後の対伯政策で両国関係は有益だと述べた。
スペイン首相は対伯投資政策は二年更新とし、両国の経済協力をメルコスル・EU共同市場のモデル・ケースとすることを提唱した。十月来伯では、メルコスル・EU共同市場に向けた実務者会議の共同プログラムも提案される予定だ。
大統領は、スペイン企業の対伯投資に利潤計上を保障した。対伯投資が、どんなに有利な投資であるかを世界へ示威する必要があるという。保障は人類が生まれて死ぬまで、必要としているものと述べた。
スペイン首相は、ブラジルの年金改革に言及。財政改革の一環として年金改革は国際投資家の注目であり、投資資金が蒸発し財政システムの確立がない国には投資しないと述べた。また南米代表としてブラジルの立場は、EUの交渉相手に足るものでなければならないと付け足した。
大統領も、農産物補助金制度で敷居が最も高いEUの保護政策は、〃デタラメ政治〃以外の何物でもないと応戦した。大統領はその後、マドリードのガジャルドン市長から両国の見解の相違とは別に、かけがえのない共営者であるとの祝辞とともに名誉市民の「金のかぎ」を授与された。
金のかぎ授与式で現実世界に戻ったブラジル代表は、フアン・カルロス国王はじめスペイン政府の歓待に謝意を表した。
昼食会の後、記者会見に臨んだ大統領は、テロと組織犯罪について質問された。発展途上国の投資環境として組織犯罪は、ぜひ解決しなければならないことだが、二十一世紀は投資環境にかかわらず途上国援助のための投資は必要だと述べた。戦争やテロ阻止は掛け声だけではなく、青年たちに教育と就労のチャンスを与え、犯罪への誘惑を防ぐことの必要を主張した。
先進国の利己主義な投機資本は、途上国の民主政治の基盤を破壊すると、大統領は訴えた。スペイン首相がテロはブラジルにはないようだが、スペイン最大の悩みとしたことで大統領が反論。テロと貧困は根本で共通の問題であるとし、途上国の緊急課題だとした。