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エチケット再び流行=男性、中流以下が重視=まず周囲に気配りを

7月19日(土)

 【イスト・エー誌1760号】1960~70年代の文化革命で、保守主義の象徴としてバッシングされたエチケットが、30年後の今、再び重視されるようになった。エチケットとは、「そのときその場面において、そうすべきだ、あるいはそうすべきではないとされる社交上の決まり」。つまりマナーのことである。イスト・エー誌が取材したエチケット専門家によれば、従業員のためのエチケット講座を依頼する企業が増えているという。

 サンパウロ市のコンサルタント業者、クラウジア・マタラッツォさんは、『ビジネス、ビジネス、エチケットもビジネスの内』の著者。通常エチケットは女性が関心を持つものとされてきたが、マタラッツォさんによると、読者層に実は男性が多いという。
 「企業で昇進を望む人や、ただ単に女性にもてたい人など。一企業の人事部にエチケット講座を開くよう依頼されるほど、エチケットは注目を浴びている。昔は婦人クラブからの依頼が多かった」とマタラッツォさんは話す。
 エチケットは17世紀フランスのルイ14世時代に、貴族と平民との距離を開く目的でつくられた。語源は、「ベルサイユ宮殿の庭にあった『芝生に入るな』と書かれた立札のことを指す(エンサイクロペディア百科事典)」ことが有名。当時、芝生で用を足す貴族が多く、あきれた庭師が立てたと言われる。
 ポルトガル語では「エチケッタ」。ブラジルではマナーのほか、衣類についている品質表示札の意味もある。イスト・エー誌によると、エチケットは「添付」を意味し、袋の中身を表示する札のこと。絶対主義のルイ14世政権下、多くのブルジョアたちが貴族の晩さん会や式典に出席するようになった。式典会場で招待客の気分を損ねないよう、招待状と一緒に、振舞い方を説明したメモ用紙が配られた。それがエチケットだったという。
 徐々に一般市民の間に広がったエチケットは、60~70年代に破棄されてしまった。それがなぜ、30年後の今戻ったのか? 「グローバリゼーションによって、世界的に共通な慣習的儀礼の価値観が見直され、エチケットが蘇った」と、マタラッツォさんは説明する。
 同じくサンパウロ市でエチケット講座を開いているエチケット・コンサルタント兼人類学者のリージア・マルケスさんは、「企業の多くが、技術的に見るとどの人材もほとんど同じだという事実に気付き、人材を選ぶ条件に求職者側の姿勢を重視している」と言明している。
 「面接での姿勢が物を言う。第1印象は会ってから4秒で決まってしまう。無口であいさつもせず、常に機嫌が悪い人は、自分の墓穴を掘っているようなもの」と、マルケスさんは鋭く指摘する。
 マルケスさんによると、60年代の文化革命を生きた両親を持つ30代の若者たちが、エチケットを身につけたいと強く感じているという。「食事のマナーなどフォーマルな教育なしで育てられたから。この年代の従業員たちは、上司の家のディナーに招かれることをとても恐れている」。
 サンパウロ大学(USP)の人類学者、ダニエーラ・スクリデーリさんは、3年間にわたってエチケットについて調査し、中流階層以下の人々の間でエチケットが重視されていることに気付いた。「自分の経済状況をカムフラージュするためにエチケットが利用されている」。
 レコルジ局TV番組『ノッテ・イ・アノッテ』でエチケットのアドバイスをするファービオ・アルーダさんは、「エチケットは自分の名刺と同じ。みな人前で鼻に指を突っ込んだり、爪楊枝で歯を突付いたり、口に食べ物を入れたまま話したりしない。すべては周囲の人の気分を損ねないため。簡単なことだ」と締めくくった。