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年金改革 反対ストで判事分裂=傍観か実力行使か=最高裁長官 容認せず=国家財政忘れて議論

7月22日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】法務関係者は年金改革に関する見解が二分したため全国の協会代表五十六人は二十一日、政府の最終改革案に対し、傍観で臨むかストの実力行使に出るか首都で決定することになった。一万五千人の会員を擁する最有力のブラジル判事連盟はストの決行を宣言したが、サンパウロ州連盟をはじめとする一派がストは司法の尊厳を失墜するとして反対、飽くまで交渉の姿勢を主張した。

 全国の法務関係者の協会代表五十六人は二十一日、首都でストの是非を表決する。ブラジル判事連盟のクラウジオ・B・マシエル会長は、司法府は三権の一角であり政府が判事を一般公務員並みに取り扱うことに抗議してストを呼びかけた。
 スト宣言に同調したのはリオ、パラナ、セアラ、ミナス、ピアウイ、南大河の諸州であった。それに対しサンパウロ州や連邦裁判所は、判事の過激な活動は国民の信用を失い、司法の尊厳を損なうとして議会のロビー活動による交渉を主張した。
 判事連盟のレンゾ・レオナルジサンパウロ州支部長は、ストに対しクッション役を果たすとして裁判審理の勤務継続を宣言した。法務の混乱を来す無分別な抜き打ちストを避けて、スト準備をするための一定期間を置き慎重に審理停止を提唱する派もある。判事の全国一斉ストは前代未聞であり、どのように決行するのか戸惑う意見もある。
 外紙は、沈没船の上で救命ボートの色選考で議論をする愚を演じているという。全国検事連盟と労裁連盟が十七日、行った声明では年金改革案が、三権を分裂と混乱の中に引き込み国家主権を脆弱なものにしたと発表した。政府は、声明書が〃脅迫状〃であると決めつけ反論した。
 ルーラ大統領から指名された最高裁のアイレス・ブリット判事は、「判事は一般公務員ではなく司法府の代表だが、政治家と同じ国家の権威でありストはできない」とした。ストは判事の禁止諸規定の一つで、代償として判事の特権が連邦令に定められている。
 最高裁のマウリシオ・コレイア長官は、判事のストは連邦令に抵触するとし、スト容認はできないと述べた。下院で交渉の余地があり、緊急の切迫した事態ではなくスト強行の理由もないとした。焦点の州裁判所判事の給与上限を最高裁判事の七五%とする案は、ジョアン・パウロ下院議長に一任済みであると述べた。
 行政府と最高裁、立法府の対話チャンネルは開かれており判事のスト未然防止は可能と、最高裁長官はみている。年金改革の政府案は八月一日までに、下院法制委員会で表決される予定。その後、下院本会議へ回される。連邦令補足例は一次と二次の二回表決が行われ、有効票の六〇%を獲得しなければならない規定だ。