7月22日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙】ブランド物の服、はやりの髪型、テクノポップを解し、メルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車を乗り回すー。こんなタイプの若者たちがライブ演奏で盛り上がるサンパウロのナイトハウスに入って、エクスタシーやLSDなどの合成麻薬密売人を捕らえる使命を持つ、二十歳から三十五歳までの麻薬捜査官らの姿なのだ。
夜になると、麻薬捜査課(Denarc)の捜査官たちは市内やいなかのディスコやナイトハウスに、多い時には一晩に四軒も通い、若者らと付き合いを求める。そのため、車のトランクに様々なデザインの服、かつら、メガネを入れて持っていく。信じられないことのようだが、捜査官はクラブバーでパゴデイロ(パゴーデの演奏家)に変身することもある。
捜査官らの正体はほとんど露見しないが、彼らの取り締まりはすでに知られている。ナイトハウスに通う若者たちは、麻薬使用者・密売人らは逮捕を恐れて活動を慎むようになったと話す。最近八カ月でDenarcの「クラブバー部隊」はエクスタシー販売容疑で八人を逮捕した。捜査官のリスクは正体を悟られることで、それを防ぐために、ある期間任務から外れることも必要とされている。ある捜査官は正体がばれて袋だたきにされたことがある。密売人は身の安全のため、周りに仲間を五、六人はべらせて麻薬を売る習慣があるからだ。
麻薬捜査官らの取り締まりはエクスタシーの流通を断つためのもので、麻薬使用の予防も目的とする。麻薬の流通は互いに顔の知れた使用者からできたグループの間に限られる。密売人の身元が決して割れない、インターネット販売網も存在する。
エクスタシーは全世界で約七百七十万人がこれまでに経験し、現在使用している。大部分が北米とヨーロッパで消費される。ラテンアメリカでは三十一万人、ブラジルでは約十万人が使用したと推定される。
エクスタシーは中枢神経に作用して様々な刺激を使用者にもたらし、服用量によっては幻覚を引き起こす。使用者の一%が依存するようになる。使用中に危険な状態に陥るので、ヨーロッパで実施されているように、その場所の風通しを良くし、使用者に水をたくさん飲むよう知らせて、被害を減らすことが望ましいとも考えられている。
ナイトハウスに侵入するという警察の決断を麻薬密売人はあまり重視していない。「密売人の大物はそんな場所には現われない」。