7月22日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙】ブラジルではほとんど知られていないが、ルイース・マルチンス・デ・ソウザ・ダンタス大使(一八七六―一九五四)が、ホロコースト(大量虐殺)の記録を保管するイスラエルのヤド・ヴァシェン美術館から「正義の人」として選ばれた。
ダンタス大使は「正義の人」として表彰される二人目のブラジル人。一人目は作家ジョアン・ギマランエス・ローザ氏の妻のアラシー・デ・カルヴァーリョ・ギマランエス・ローザ外交官で、ナチス時代のドイツでの活動に対して表彰された。これまでに一万九千七百六人が表彰されている。
駐仏ブラジル大使としてのダンタス大使の活動が今回の受賞理由。同大使は第二次大戦中ドイツ占領下にあるフランスで四百七十五件以上のブラジル入国ビザをユダヤ人に発給した。歴史家のコイフマン氏は同ビザの発給が千件に上ると考えている。同ビザは新国家体制(一九三七―四五)の下、ユダヤ人の入国を制限したヴァルガス政権の指令に逆らって発給された。同大使は発給停止命令が出た後も日付を偽り、必要書類やパスポートさえない人に対しても発給を続けたという。
同大使はまた、ユダヤ系フランス人で文化人類学者のレヴィ・ストロース氏にビザを発給できなかったことでも有名だ。そのいきさつは同氏の著書「悲しき熱帯」に記されている。同大使が発給印を押そうとした時、別の高官がそれをさえぎったという。同氏は米国に逃亡した。