■企画
7月23日(水)
日伯友好病院(大久保拓司院長)はサンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)にとって必要か否か。援協は現在、公益福祉団体の登録を更新している。医療機関に対する審査が厳格になってきており、友好病院が将来、微妙な立場に立たされる可能性が高まった。アインシュタイン病院をはじめ大手医療機関が公益福祉団体登録から外される中、援協は将来像をどう考えているのだろう。
十七日午後一時すぎ。会長、副会長、会計理事を招集しての緊急会議が秘密裏に開かれた。友好病院の経営を引き締めるべきというのが、協議内容だった。
同病院の月間取り扱い件数は、のべ三万二千人で今年度の累積黒字が四百四十四万八千七百六十七レアルに達する。
神内総合検査センターも建設中で、病院側としては、どんどん事業を拡張していきたい考えだ。
援協地区委員を対象にした施設視察旅行で、大久保院長は、「来年中には臓器移植も手掛けたい」と、自信たっぷりに語っていた。 が、首脳部の間に一抹の不安がよぎった。「病院が黒字なのは、援協の傘下に入っているから。営利団体になれば、赤字に転落するのではないか」。
公益福祉団体として認められるには、病院の利益の二〇%を無料で取り扱わなければならない。審査が年々、厳しくなっている。
現実に、アインシュタイン、ノービ・デ・ジューリョといった医療機関が公益福祉団体登録の認可を取り消された。
事務局は、「相当額をほかに寄付したというのは不可。きちんと、経理報告書を提出、監査を受けなければならない」と、渋い表情で語る。
緊急会議では、仮に独立して各種税金の納付義務を追ったとしても黒字経営を維持できるような態勢を構築しておくということで、意見の統一が図られたという。
援協予算の九〇%が友好病院に向けられ、利益の一部はほかの施設などに還元される。友好病院は援協事業を大きく支える。
独立か否かは、あくまでも、不測の事態に備えての議論。事務局は、「今のところ、友好病院を援協本部から切り離すことはまったく、考えていない」と、きっぱり言っている。