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カレン・ヤマシタ講演会=ジパング出版社からポ語版

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7月23日(水)

 日系アメリカ人作家は強制収容所経験を語ることから抜け出せないと、長らく言われてきた。ところがカリフォルニア生まれの日系三世カレン・テイ・ヤマシタは、第一作からその壁を軽々と越えた。ブラジル滞在九年間、夫もブラジル人という変り種。文化・人種の混交状況を、不思議かつ残酷で、どこかコミカルな独特の文体で描く。
 その第一作であり、出世作でもある『Through the arc of the forest』(Coffee House Press刊 1990 英語)は初版五千部を売り切り、第四版まででているロングセラーだ。日本語訳『熱帯雨林の彼方へ』(白水社)も刊行されており、この度、サンパウロ市の新興出版社ジパング(村山サンドラ社長)からはポ語訳『Matacao, uma lenda tropical』が出版されることになった。
 主人公はブラジルに移住する日本人イシマルで、その頭の周りには惑星のように球体が飛びまわり、プラスチック資源を発見したりする。かと思えば、三本腕のアメリカ人事業家、乳房が三つあるフランス人鳥類学者も登場する。「ブラジルでよく見ていた、グローボの八時のテレビドラマに触発されて書いたんです」と奇妙な説明をする。
 アメリカの有名な評論家ウチネ・リーダーは書評で「奇抜でいて荘厳、可笑しくて哀しい。カレンのファンタジックな現実主義は、彼女のもう一つの本業であるノン・フィクション以上に、熱帯雨林をいかに守るかということを雄弁に語る」と絶賛する。
 一九七〇年代初め、日本に一年半留学した時、一四代も遡って家族の系譜を調べた。彼女には、三年間の人類学的調査に基づいて書かれた、日本人移民の歴史小説『ブラジル丸』(第二作)もある。第四作『Kの円還』は九八年に半年間、家族で愛知県瀬戸市に住んだ時の経験から、デカセギを扱った辛らつにしてポップな評論エッセイだ。日系ブラジル人のあらゆる局面が彼女の好奇心をくすぐる。
なぜアメリカの日系三世がブラジル日本移民に興味を持つのか? 〃純粋な日本人〃とは何か? 彼女の奇想天外な感性に触れたい方は、二十九日午後七時から国際交流基金二階、サンパウロ文化センターの多目的ホールで行われる出版記念の著者座談会へ。入場無料。住所はパウリスタ大通り三七番。