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起業の登竜門〃借金学〃=金銭感覚に磨きを=借財は活人剣か殺人剣か

7月24日(木)

 【エポカ誌】高い金利を払って借入金を起こし、事業経営をこなすのは至難の業だが、これが一人前の実業家への登竜門ともいわれる。借入希望者はこの二年に六〇%増加、融資総額は七百九十億レアルにのぼるという。借金怖さに「沈香も焚かず屁も垂れず」と何もしないのも困るが、金銭感覚に疎いのも恐ろしい。

 仮に一万レアルを一年据え置きで借金すると、一年後の債務残高が、銀行の与信なら二万一千五百レアル(月利六・六%)、店のローンなら二万一千九百レアル(月利六・七四%)、特別小切手なら三万六百レアル(月利九・七七%)、クレジット・カードなら三万三千六百レアル(月利一〇・六三%)、サラ金なら四万二千五百レアル(月利一二・八二%)となる。
 〃私生活の資金管理〃の著者ライル・リベイロ氏は、次のように警告する。クレジット・カードが発明されてから、消費者は現金を消費する実感がない。カードを握ったら、三カ月の禁欲生活をすることだ。クレジット・カードは、収入以内で生活する習慣を崩す。捕らぬ狸の皮算用をする。
 一種のシンドローム(症候群)で、絶対借金をしてはいけない人たちがいる。精神的疾患や障害から起きる症状で、借金に対する観念が希薄なのだ。来月のベアや不時収入を見込んで、先に使ってしまう。
 共稼ぎをしている夫婦の場合、子供の教育に目が届かない。子供はある日、父親と一緒に遊びたいという。父は予定があって時間がないから、どこかで好きなことをせよと小遣いを与える。愛情の代償は金銭としつけられながら、子供は成長する。成人すると、全て金銭で解決できると考える。
 資産の四法則というのがある。もうける、使う、貯金する、投資するの四つだ。ところが借金苦は金銭では解決できない。気持ちの問題なのだ。借金返済のために、借金をすると悪循環は一生続き、生き地獄だ。
 ブラジルが借金決済のために、国際通貨基金(IMF)へ行って更に借金をする。新植民地主義といわれるゆえんで、ルーラ政権は念願の失業や貧困の国内問題にまで手が届かない。
 突破口は何か。ものの価値は売り手と買い手の話し合いで決まる。いつも話し合い、不当な指し値にはクレームを付ける。貯金は天引きにする。収入の一〇%がよい。そして投資する。すると貯金自身が、あなたのために稼ぎ始める。不労所得が入ってくる。マネーゲームの折り返し点だ。 
 借金は決済法が確立されているなら他人の金銭でも、自分の金銭と見なしてよい。金銭は人間に勇気を与える。新しい決心をさせる。人間が精神的やすらぎを取り戻せるのは海でも山でもない、金銭のもうかる仕事によってだ。迷い込んだ人生の袋小路から脱出させる。中年からの病気や変調は、順調な仕事でしか治せない。 
 借金をして、他人に接待する人(秀吉型)と全て計算づくの人(光秀型)があり、本人の性格もあるので是非の判断は難しい。私生活は魚の骨で飯を食べるほど質素で、接待は豪華に振る舞う。客の将来性を見込んだ先行投資だが、それは本人の器量によるようだ。