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カカオ地帯に福音=接ぎ木で病原菌に対抗

7月24日(木)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十五日】ブラジルのカカオに一九八九年末、病原菌〃魔法使いの箒(ほうき)〃がバイア州イタブーナからイリェウス辺りまでの六十万ヘクタールに発生し、カカオの木五万五千本は葉が腐り実は縮んだ。しかし、クローン・カカオの出現でカカオ栽培者に明るい表情が戻ってきた。
 二十五万人の農業労働者が、都市のスラム街へ押し寄せたのが止まった。カカオ栽培者らは暗いトンネルに曙光(しょこう)を見いだし、すでに折り返し点を通過したと歓声を上げている。労働者たちは農場に呼び戻され、農業技師の指導でクローン技術を習得している。
 クローン・カカオ苗の枝を切って、病原菌に犯されたカカオの根元にある新しい芽に接ぎ木をする。接ぎ木した枝は三カ月後、成長して自生できるようになる。その後、病原菌に侵されたカカオの木を伐採する。
 この技術は五年にわたって世界のカカオ樹千三百種類を集めて実験し、六種類だけが病原菌に対する抵抗力のあることが判明した。植物のクローン技術適用は官庁へ申請さえすれば、法令で認められている。クローン技術は、遺伝子組み換えとは全然異なる。
 バイア州では、すでに十万ヘクタールのカカオにクローン・カカオを接ぎ木した。新しいクローン・カカオは収穫量も多く、カカオの国際価格も高騰しているので生産者は、大きな期待を寄せている。今年のカカオは昨年の二倍に高騰。しかも今年は、収穫量でも昨年の五〇%増で十三万五千トンを見込んでいる。