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■年金改革 法制委員会で可決=監視の中、挙手表決=反対委員排除し突破=次は下院本会議へ

7月25日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】下院法制委員会による年金改革案の表決は二十三日、軍警特殊部隊の厳重監視のなか、賛成三十票、反対八票で可決した。クーニャ下院議長の要請で軍警部隊を議院回廊に配置、表決阻止を試みる公務員デモ隊の乱入を防いだ。高額年金受領者の負担金徴収は、可決された。負担金免除の年金額引き上げは否決。続いて同案は、下院本会議の審議へ回される。

 今年最も緊張した雰囲気の中で、下院法制委員会の委員三十八人は年金改革案の合法性を裁決した。表決は挙手方式で行われ賛成三十票、反対八票で可決した。高額年金受領者の社会保障負担金の徴収は、賛成二十九票、反対九票で可決。
 連立与党に属する委員二十六人のうち、反対票を投じる恐れのある委員六人は、代理人に交代させた。可決された年金改革案の主な内容は次のようなもの。
 [年金全額支給]現役公務員で二十年以上勤務または上級職で十年以上勤務。年金掛け金を男性は三十五年、女性は三十年納付。定年は男性が最低六十歳、女性が五十五歳の場合。
 [年金の減額]規定年齢以前に定年希望の場合、三五%を最高限度として一年につき五%を減額する。
 [年金の調整]全額支給に該等しない場合は、インフレ指数で調整。全額支給の場合、本給のみ現役公務員と同率調整を行う。
 [年金の上限]最高裁判事の年金を上限として、州司法官はその七五%を上限とする。この上限は、司法官との争点となっている。
 [遺族年金]千五十八レアル以下の遺族年金は、全額支給。それ以上は、超過分の三〇%を減額。
 [定年者の負担金徴収]公務員年金千五十八レアル以上の超過分に対し一一%を徴収。改正年金法発効後は二千四百レアル以上の超過分に対し一一%を徴収。 [補足年金]二千四百レアル以上の年金受領の場合は、超過分の掛け金を補足年金基金へ納付する。
 [比例年金]一九九八年以前、公務員に採用され民間基金と政府へ掛け金納付をしている場合に適用。
 [負担金の徴収率]連邦、州、市ともに同率の最低一一%を予定している。
 ジルセウ官房長官は記者団に、次は下院本会議で一次と二次の表決が行われ、大幅な修正案が可決されると述べた。それは官房長官案でも、大統領案でもないものという。官房長官は年金調整で、定年者も現役も同率なら、現役への給与調整は不可能だと訴えた。
 一方、年金改革反対派の議員らは、軍警の議会内導入に不快感をあらわにした。また十分な審議時間を与えず官憲導入での強行裁決は、国会議員の口封じで独裁政治の手法であると抗議した。連立与党は前もって反対委員を排除して代理人をたて、挙手方式で意見を述べる時間を与えず勢いに乗じての強行裁決で〃八百長〃だと非難した。