7月25日(金)
【アゴーラ紙二十四日】大サンパウロ市圏サンベルナルド・ド・カンポ市で二十三日、ホームレス労働者運動(MTST)が占拠したフォルクスワーゲン(VW)所有の空き地の入り口付近で、エポカ誌のフリーカメラマンのルイス・A・コスタ記者(三六、通称ラ・コスタ)が射殺された。事件を目撃したアゴーラ紙のA・ポルト写真記者(三〇)が、容疑者とされるピストルを持った男を撮影した。事件後、軍警は土地周辺を包囲した。
MTSTは十九日未明から同地を占拠し、現在約四千人がキャンプ生活を送っている。二十二日には、同市第四民事裁判所が、土地をVWに返還するよう命令していた。
同地から百メートルほどのガソリンスタンド(GS)を襲った強盗の一人が、コスタ記者を射殺したという見方が強い。GSの店主は、撮影された容疑者がGSに入った強盗の一人だと証言している。
この仮説によると、男三人組はGSに強盗に入り、六十レアルをとった。逃走中、三人はジアーリオ・デ・サンパウロ紙の運転手の携帯電話も盗んだ。入り口から離れていたコスタ記者は、それを目撃。報復として射殺されたという。
だが、コスタ記者のデジタルカメラには、強盗事件を撮影した形跡はなかった。ジアーリオ紙のP・C・ブラーヴォ写真記者は、コスタ記者のもう一つのカメラが無くなったと証言している。
コスタ記者から一メートルも離れていない場所にいたポルト記者によると、犯人はキャンプ場から出てきて被害者に接近し、「カメラをよこせ」と命令。被害者が拒否したので拳銃で撃ち、再びキャンプ場の中へ消えたという。銃弾はコスタ記者の胸部から肩へ突き抜け、救急病院についた時には息絶えていた。
その間、もう一人の男が、グローボ局のテレビカメラを押えて収録させないようにした。その男も事件後、キャンプ場に身を隠している。二十三日夜の時点では、容疑者は逮捕されていない。
ポルト記者によると、MTST幹部たちは朝からマスコミの立ち入りを拒否していた。「グローボが二十二日、MTSTを批判するニュースを流したので殺気立っていた」。エポカ誌、ジアーリオ紙はともに、グローボ系のマスコミ機関である。
事件後、軍警がキャンプ場を包囲し、緊迫した状態になった。MTSTも出入りの監視を厳重にした。同日午後四時四十五分ごろ、軍警は撤退。記者の救助を手伝ったMTSTリーダーのC・アウヴェスさんは、記者の死に対する悔やみの言葉を述べ、MTSTが平和的な運動であることを強調した。「事件の詳細は分からない。でもMTST内部の人間の仕業ではないと思う」。
犯人は強盗だったのか、それともMTSTのメンバーの一人だったのか―。事件はなぞに包まれている。 (コロニアニュースに関連記事)