7月26日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】連邦警察は二十四日、農地占拠やビル占拠の背後に社会混乱を目的とする政治家の関与があるとみて捜査を行うことを明らかにした。一連の暴力的占拠は農地や住宅取得のための社会運動の域を超え、現政権の失策をあばき体面を汚す政治的意図で画策されているとの結論に至った。政治団体が、扇動を目的として極左派や犯罪者グループを通じて資金援助を行っていると連警はみている。
大統領はじめ閣僚らは、一連の占拠活動の目的が農地や住宅ではなく、社会かく乱と失政による政治的敗退が目的であると予測した。農地占拠運動(MST)の会合に臨んだフルラン産業開発相は、MSTの考えていることが政府の意図するところとは異なると、その意外性を指摘した。
MSTの会合で確認したことは、社会運動ではなく政治運動であるということ。求めているのは、権益であって農地への入植ではないと、開発相は語った。
サンベルナルド・ド・カンポ市のフォルクスワーゲン所有地キャンプで起きたカメラマン射殺事件は、これら占拠活動に危険信号を灯した。微妙な最近の情勢に符号を合わせ、事態をあおる事件として、連警や政府関係者は背後関係を重視している。
基本金利引き下げにかかわらず景気後退に歯止めがかからず、失業率の記録的増大や工業生産の続落。MSTの農地占拠攻勢が地方から、ビル占拠で都市部へも飛び火。それに追い打ちを駆ける司法官ストによる国家機能の停止示唆、検事や検察のスト合流宣言。州知事までが、税制改革で態度を変化させている。
全国弁護士会(OAB)のマシャード会長は、国家は憂慮すべき事態にあるとした。国家の良識たる司法官が、国政の根幹ともいうべき連邦令を無視してまでスト決行を宣言するに至っては言語道断。冷静に話し合えないのかと訴えた。
軍警特殊部隊の下院導入を要請して、法制委員会による年金改革強行裁決を行ったことで、アレルイア下議(PFL)は「PTは自分で用意した毒物を、自分で服毒する番となった」と非難し、軍警招集を議会の恥だとした。ジェノイノPT党首は、議会の恥は国会の審議停止であり、軍警は議員をデモ隊の暴力から守るためと反論した。
政府が懸念しているのは、PT過激派ばかりでなく国全体が過激化する動きがあることだ。これまでの社会運動は、暴力が労働者の福祉にも社会正義の確立にも貢献しないと知っていた。カルドーゾ前大統領は、PTが社会運動を扇動し、極左派や犯罪人などが反政府活動に資金援助をしていたと述べた。
連警は最近の占拠活動と前大統領発言の関係を分析している。大統領府は占拠活動への資金援助を立件する証拠を持っていないが、社会を扇動する政治的意図のあることは確実とみている。政権就任の半年間で、昨年一年以上の農地占拠が全国的に激増している。